<食卓ものがたり>逆風に負けじ、定番土産 ういろう(名古屋市)

2020年6月20日 08時22分

餅文総本店のういろう。江戸時代から伝統の味を守っている=名古屋市で

 名古屋土産の定番「ういろう」。もっちりした歯応えと、ほのかな甘みが人気のお菓子だが、新型コロナウイルスの影響で売り上げが激減している。
 六月上旬、名古屋市熱田区の「餅文総本店」。工場長の水上正剛さん(41)が砂糖を溶かした湯に、米粉を加えてかき混ぜていた。湯の温度は通常約七〇度だが、その日の気温によって異なる。硬すぎず、軟らかすぎない独特の食感を生むための生地作りは、職人の勘が頼りだ。「もちもちとした感触が増す」と米粉を使うのが同社の特徴。混ぜ終わると、型に入れて蒸し上げる。多い時は一日二千本以上を作るという。
 創業は一六五九年。名古屋で最も早くういろうを作り始めた老舗だ。ういろうの歴史は約六百五十年前の室町時代にさかのぼる。中国・元の国から、今の福岡・博多に亡命した陳外郎(ういろう)が、せきなどに効く薬を伝えたのが始まりだ。その人にちなみ、薬は「ういろう」と呼ばれたが、それに色や形が似たお菓子を、子孫が黒糖と米粉で作って広めたとされる。同社では「外郎」の「郎」から部首の「おおざと」を省き、「外良(ういろ)」と呼んで販売している。
 名古屋のういろうは一九六四年に開通した東海道新幹線の車内で販売されたことなどから知名度を上げ、安定した売り上げを保ってきた。しかし、新型コロナで新幹線の利用客が激減したのを受け、状況は一変。売り上げの四割をJR名古屋駅での販売が占める同社は、四月中旬からの一カ月間、生産量を九割減らした。最終的に四〜五月の売り上げは前年比七割減。「経営は危機的」と副社長の石塚慎吾さん(49)は明かす。
 ただ、石塚さんは前を向く。「名古屋のういろう業界は、他社に敬意を払い、情報を交換しながら頑張ってきた」と言い、「今は試練の時。でも、必ず完全復活する」と決意は固い。
 文・写真 細川暁子

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 同社の定番商品は「献上ういろ」=写真(左)。江戸時代、初代文蔵が尾張藩2代目藩主・徳川光友に届けたのと同じ製法を守っている。味は、砂糖だけのシンプルな「白」、黒砂糖を使った「黒」、抹茶、栗の4種類。ハーフサイズで486〜756円。
 8月下旬までの季節限定商品「水ういろ」=同(中)=は、こしあん入りと抹茶あんの2種類があり、冷やして食べるのがお勧め。5個入りで594円。6月から販売を始めたラムネういろ=同(右)=は4個入りで486円。ホームページからも購入可能。(問)同社=フリーダイヤル(0120)039516

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