「ずーっと宝物」コロナで公演中止の高3 後輩に感謝の動画<#最後の夏残したい!>

2020年6月20日 14時15分

昨年の文化祭の舞台で、照明合わせをしながらおどけた表情を見せる石川芽依さん(左)と中山千颯さん=石川さん提供

 新型コロナウイルスの影響で春に演じるはずだった最後の公演が中止になった。「なし崩しで引退するのは嫌。思い出を形にしたい」。東京農業大第一高校(東京都世田谷区)三年の石川芽依さん(17)は演劇部の同級生五人に呼び掛け、後輩たちに贈るメッセージ動画を作った。 (小形佳奈)
 石川さんは同校中等部から演劇部に入り、高校に進むと上級生が引退したため、すぐ部長を任された。音響や照明の技術を学び、脚本も手掛けた。小劇場に足を運び、演出家に教えを請うた。
 二年生だった昨秋は、都高等学校文化祭演劇部門の地区予選で一時間のオリジナル劇を上演。副部長の中山千颯(ちはや)さん(17)と台本の内容を詰め、四カ月かけて完成させた。予選突破はならなかったが、「部員のモチベーションが高く、お客さんが大受けしてくれて努力が報われた」と振り返る。
 今春に校内で引退公演を予定していたが、新型コロナによる休校の影響で中止に。「仕方ないという思いもあったが、気持ちを切り替えることがなかなかできなかった」
 どうしたら皆の思い出を残せるかを考えた石川さんは「三年生全員で引退動画を作ろう」と提案。後輩への手紙や活動風景の写真八十五枚を集め、自宅でのリモート作業で五日間かけて編集した。
 後輩たちへのメッセージは、各自が便箋に書いたものをスキャンして順番に紹介。石川さんは「私が部長でいいのか」「先輩として振る舞えているのか」と不安を抱えつつも「皆のおかげで頑張ろうと思えた」と、上級生不在で存続の危機に立ち向かった苦労と感謝をつづった。
 他の同級生も「演劇部の時間はずっとずーっと宝物」「引退公演が開けなくてとても残念だけど、健康でいればまた、皆さんと劇ができるだろうと楽しみ」など、仲間への感謝や未来への希望を託した。
 五月十日に出来上がった約四分の動画は、後輩や同級生の元部員らで共有した。「結果じゃない、過程が大事という思いも共有できた」
 動画完成を区切りに、受験モードに。この夏は、情報メディア系の学部がある大学への進学を目指して勉強に取り組んでいる。「コロナ禍で演劇文化が苦境に立たされた。一方で、リモートコンテンツの力強さに気付いた。演劇に生かす手法を研究したい」と思いに熱がこもる。

演劇部の後輩たちへの手紙と部員たちの写真で構成したメッセージ動画の一場面

◆「青春の軌跡」お寄せください

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、中高生らのクラブ活動の大会が相次ぎ中止となりました。「ニュースあなた発」は全国の地元紙と連携し、コロナ禍に見舞われた2020年の夏を生きる生徒たちの思いやこれまでの努力の跡を紙面やウェブ上に刻むプロジェクト「#最後の夏残したい!」を企画しました。周囲で支えた方々もメッセージをお寄せください。
 投稿フォームから投稿を受け付けているほか、郵便、ファクス=03(3595)6919=でも募集しています。郵便は〒100 8505 東京新聞社会部「最後の夏残したい」係へ。住所、氏名、電話番号、年齢、部活名、学年を明記してください。締め切りは30日(必着)です。

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