首相の悲願、在任中の改憲厳しく 「議論しない」野党に責任転嫁

2020年6月21日 07時45分

開催が見送られた衆院憲法審査会。電光掲示板には「会議を開くに至らず」と表示された


 安倍晋三首相が目指す在任中の改憲が厳しくなってきた。先週閉会した通常国会での実質的な憲法論議は衆院憲法審査会での一回にとどまった。改憲手続きを定めた国民投票法改正案は六国会連続で継続審議となった。首相は来年九月までの自民党総裁任期中の改憲の旗を降ろさないが、国会の機運は高まっていない。
 首相は国会閉会を受けた記者会見で、改憲について「条文案を巡る議論は残念ながら今国会でも全く進まなかった。目の前の課題を先送りせず解決するのは政治家の責任だ」と与野党に議論を促した。会見の冒頭発言で自ら切り出したところに、論議停滞へのいら立ちがにじんだ。
 記者から審議を加速させる方策を問われると「任期の間に憲法改正を成し遂げたいとの決意と思いに変わりはない」と強調。三分半に及ぶ熱弁で「反対なら反対と議論すればいい。なぜ議論すらしないのか」と野党に矛先を向けた。
 通常国会で憲法議論が進まなかったのは、野党が「新型コロナ対策を優先すべきだ」と主張したからだ。十二日の自民党憲法改正推進本部では、細田博之本部長が「野党にも反省をしてもらわないといけない」と憤った。出席者からも「支持者にも相当な不満がある」との声が漏れた。
 首相の在任中に改憲を実現するには、遅くとも来年の通常国会で改憲を発議しなければならない。安倍政権が審議を急ぐなら、野党の要求に応じて先の通常国会の会期を延長する選択肢もあった。予定通り国会を閉じながら、改憲論議が滞った責任を野党に転嫁するうちに、首相の残り任期は刻々と少なくなっている。 (井上峻輔)

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