在宅勤務の経費って自腹? 電気代、通信費、機器購入…出費こんなに

2020年6月21日 07時36分

2万円の一時金でヘッドホンや延長コード、姿勢矯正クッションなどを購入したショーケースの男性社員=東京都内で


 新型コロナウイルス対策で急速に広まった在宅勤務。自宅で仕事をするのに必要な機器や家具をそろえたり、電気代が増えたりし、自腹を切った人もいるだろう。在宅勤務は、感染拡大第二波への警戒や働き方の見直しと共に定着しそう。「自宅オフィス化」の費用の負担はどうなるのか。 (中沢佳子)
 「社内オンライン会議は、会社から渡されたスマートフォンで参加した。立てかけないと使いにくいので、自腹で千円ぐらいのスマホ用三脚を買った」。東京都目黒区に住む女性会社員(33)は苦笑する。
 在宅勤務に急きょ変えた職場では、仕事用デスクやウェブカメラなどの購入、光熱費の増加に悩まされた人もいる。新電力会社「アイ・グリッド・ソリューションズ」の調査では、三〜四月に在宅勤務をした世帯の六割で、平均使用電力が前年同期比36%(電気代換算で千七百円)増加。業務管理システム会社「アイル」が社員に行った調査によると、96%が家での仕事に不便を感じ、購入した物としてパソコン周辺機器(23・8%)、クッション(10・7%)、椅子(9・5%)などが挙がった。
 従業員の負担に配慮した企業もある。二月下旬から在宅勤務に切り替えたIT企業「ショーケース」は、二万円の一時金を出した。購入を認めたのは仕事用の機器や家具から、コーヒーマシン、加湿器といった物まで幅広い。「仕事の効率が下がらないようにするのが目的。快適に働くために必要だと本人が思う物に使えるようにした」と同社広報の坪井安奈さん。さらに、四〜六月は通勤手当などの支給をやめ、代わりに在宅勤務時の光熱費といった名目で月三万円を払った。
 企業のマーケティング支援を行う「ラバブルマーケティンググループ」も在宅勤務に伴い、十三万円の一時金を支給した。同社広報の増子ひとみさんは「マスクや消毒液を買った人もいた。二歳の子のベビーシッター代に充てた社員もいて、『仕事に集中できた』と好評だった」と語る。
 インターネットを通じて個人への仕事の受発注を仲介する「ランサーズ」は、職場と同じ生産性を保つ環境づくりにと一時金三万円を出した。人事担当執行役員の宮沢美絵さんは「今回を機に在宅勤務を続ける社員は多く、継続的に支給する手当を検討している。出社と在宅を組み合わせる勤務にし、東京・渋谷の本社など三カ所のオフィスの集約も考える」という。
 在宅勤務などリモートワークは、自宅やカフェ、シェアオフィスで働くのが前提だ。その光熱費や利用料に充ててもらおうと、二〇一六年から全社員を原則リモートワークにしたソフト開発会社「シックス・アパート」は毎月一万五千円の手当を支給している。
 赤坂に百坪超のオフィスを構えていた同社は、リモートワーク移行と同時に神保町へ移転し、広さも三十坪ほどに縮小。家賃や光熱費などが抑えられた分を、手当に回した。同社広報の寿かおりさんは「自然災害で交通網がマヒするなど、出社の障害になる事態はコロナ後も起きうる。全員が一カ所に毎日集まらなくても業務できるようにするのは企業にも必要」とみる。
 在宅勤務に必要な費用が労働者にのしかかる懸念もある。労務問題に詳しい梅沢康二弁護士は「業務にかかる費用は雇う側が負担するのが原則」と指摘し、負担の在り方を考えるのが欠かせないという。「在宅勤務を制度化するのは、労働者の自宅をオフィスに使うことを意味する。労使で費用負担について協議し、取り決めておくべきだ。雇う側はオフィス維持費を削減できるのだから、その分を労働者に回す必要がある」

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