<ひと物語 コロナ編>筑西市でダチョウ牧場経営 加藤貴之(かとうたかゆき)さん(33)

2020年6月21日 08時26分

ダチョウ肉の魅力について語る加藤貴之さん=筑西市中上野で

 クセのない上品な味わいの赤身肉。少ないエサで育つので環境負荷も小さい。
 そんなダチョウ肉の魅力を広めようと、産地直送の卸売りを手掛けてきたが、新型コロナウイルスで休業した飲食店との取引が激減。「百軒ほどあったレストランや肉バルからの注文が、一時はほとんどなくなった。今は四分の一くらいまで戻ったものの、しんどい状況です」と頭を抱える。
 二〇一一年の東日本大震災で、復興支援のボランティアに参加したのをきっかけに「自然と人間が共生できるビジネスを」と思い立った。そのころ、知人の紹介でダチョウ牧場をPRするイベントを手伝う機会があり、ダチョウ肉の可能性に目を開かれた。
 日本ではあまりなじみのないダチョウ肉だが、世界的には「エコ」な食材として人気だ。同量の肉を得るのに牛の四分の一、豚の二分の一のエサで済むため、飼料穀物の生産に必要な水や土地が節約できる。
 肉はタンパク質や鉄分、ビタミンが豊富な半面、脂肪やカロリーは少なく、現代人の健康志向にもぴったり。「脂っこい肉が苦手な方には最高の食材。ずっと食べ続けても飽きません」
 一二年、ダチョウ肉を中心とした希少肉の卸会社「ノブレス・オブリージュ」を設立。「高貴な者の義務」を意味する社名に「自分のスキルを通して、食糧問題や環境問題の改善に貢献したい」との志を込めた。一七年六月から二年間、石岡市でダチョウ飼育の経験を積み、昨年十月には故郷の筑西市で自分の牧場を持つ夢をかなえた。
 だが、最初に入れた七羽のヒナが生後一年前後の出荷時期を迎える間もなく、コロナ禍に見舞われた。在庫の肉をさばかなければ、新しい牧場の肉も売るに売れない。「収益を次のヒナの仕入れや暖房機などの機材購入に充てる予定だったのに、お預けになってしまった」とため息をつく。
 飲食店への出荷減を補うため、個人向け通信販売に活路を求める。自社サイトでは、ヒレ肉やもも肉のほか、レバーやハツ、卵なども扱う。鶏卵の二十五倍の重さを持つ卵は、現存する生物では世界最大。プリンやカステラの材料に使うとふんわり仕上がるという。
 名刺にも「ダチョウ愛」があふれる。氏名のローマ字読みは、ダチョウを意味する英語を組み合わせた「タカユキ・カトオーストリッチ」。傍らにはダチョウの「顔写真」も。無農薬や減農薬の野菜を混ぜたエサで手塩にかけて育てた肉は、柔らかく、うま味が詰まっていると評判だ。
 コロナ禍で外食が減った分、家庭料理にダチョウ肉を取り入れて変化を付けてみてはいかが?
 お薦めの食べ方は、レア肉の食感を楽しめるたたき。「塩コショウを振って、フライパンで表面を軽くあぶるだけ。ワサビじょうゆやニンニクじょうゆに合います」(宮尾幹成)
      ◇
 加藤さんが育てたダチョウ肉は、ノブレス・オブリージュの通販サイト「クイーンズ・オーストリッチ&ジビエ」=https://shop.queens-ostrich.jp=で購入できる。ヒレ肉2650円、もも肉2200円(いずれも300グラム、税抜き)など。電話での問い合わせは03(5843)8655へ。

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