ヨルダン川西岸併合、ネタニヤフ首相の判断は 7月1日の宣言に注目

2020年6月22日 07時11分
 【カイロ=奥田哲平】イスラエルのネタニヤフ首相が選挙公約に掲げたパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の一部併合方針を巡り、七月一日から併合に向けた法制化の手続きが可能になる。ただ、アラブ諸国や国際社会の反発が強まる上、連立政権内や国内右派の一部も懸念を示す。「一日に一部併合を宣言するのでは」との声もあり、ネタニヤフ氏の判断に注目が集まる。
 米政権が一月に公表した中東和平案に基づき、西岸地区30%に相当するユダヤ人入植地とヨルダン渓谷をイスラエル領に併合する内容。米国との合同委員会で境界の画定作業を進める。
 イスラエルは、一九六七年の第三次中東戦争で支配下に置いた東エルサレム、八一年にシリア領だったゴラン高原を併合。いずれも占領地を自国領とする国際法違反とされ、ヨルダン川西岸の一部併合を宣言すれば三十九年ぶりとなる。
 ただ、懸念の声も強い。アラブ首長国連邦(UAE)のオタイバ駐米大使は十二日のイスラエル紙に寄稿し、一方的な併合を強行すれば、アラブ諸国との関係正常化は不可能と警告。国連が任命する人権問題専門家約五十人も十六日、共同声明で「パレスチナがイスラエルに完全に囲まれ分断された土地になる。二十一世紀のアパルトヘイト(人種隔離)だ」と批判した。
 こうした反応を受け、連立政権を組む中道政党「青と白」を率いるガンツ国防相が態度を硬化。国際社会や周辺国が併合を支持するか、少なくとも黙認姿勢を示すことが必要との立場とされる。大手紙ハーレツは「併合のチャンスは消えつつある」と評した。
 一方、ネタニヤフ氏が支持基盤とする右派勢力からも逆風が吹く。米政権の和平案に沿えば、残る70%の西岸地区にパレスチナ国家樹立を認めざるを得ず、右派には受け入れられない。
 ネタニヤフ氏のジレンマを意識し、パレスチナ自治政府のシュタイエ首相は九日、併合に踏み切った場合に「独立国家を宣言し、国際社会に承認を求める」とけん制した。政治評論家ハビブ・ゴール氏は「選挙公約を果たす実績と国内外の圧力などの損得を見極め、七月一日に何らかの宣言は行うだろう」と指摘する。

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