オンラインで新人教育 コロナ禍、異例のスタート 「出社できず孤独」ケアも必要

2020年6月22日 07時27分

パソコンの画面越しに名刺交換の練習をする新入社員たち(一部画像処理)=ラーニングエージェンシー提供

 新型コロナウイルスの感染拡大と同じタイミングで、社会人生活をスタートさせた今年の新入社員。外出自粛の影響で、入社早々、在宅勤務を余儀なくされるなど例年以上に不安やストレスにさらされている。外出自粛が解除され、ようやく出社を果たす新人がいる一方、テレワークの定着を目指して配属後もオンラインで新人を育成する企業もあり、雇用側のサポートがより重要になっている。 (添田隆典)
 「いつ出社できるか分からず、一時は会社を辞めようと思った」。四月に東京都内の人材紹介会社に就職した男性(22)が、入社後命じられたのは「自宅待機」だった。
 男性の会社は三月末から在宅勤務に移行。それに伴い入社式は延期され、同期約五十人が集まる新人研修は、自宅で受講するオンライン形式に切り替わった。各部署を回る現場研修は中止され、ビジネスマナーなどを動画で学ぶだけに。配属も延期になり「このままでは入社した意味がない」と転職活動を始めたところで緊急事態宣言が解け、出社できるようになった。自宅待機の二カ月間は「職場の雰囲気も分からず、孤独だった」と振り返る。画面越しでは、同期とも打ち解けにくかったという。
 男性の勤務先のように、新型コロナの影響で新人研修をオンラインで実施した企業は多い。企業向けの研修サービスを開発する「ラーニングエージェンシー」(東京)によると、今年、同社に新人研修を依頼した千百二十四社のうち八割に当たる八百九十一社が、集合形式の研修をオンラインで行ったという。
 ただ気になるデータもある。富士通が四月、テレワーク中の社員に任意でストレスチェックを実施したところ、ストレスを抱えていると判定された新入社員の割合は、全社平均より10ポイント高かったという。「入社後の慣れない中で、社内の人に会えない不安の表れではないか」と担当者はみる。
 同社は緊急事態宣言解除後も、オフィスへの出勤率を最大25%に抑える目標を掲げる。六月の配属後も新入社員はテレワークを続けているが、チェックの結果を受け、初日は上司や指導役の先輩社員と直接、顔を合わせる場を設定。その後は、指導役が一対一で仕事を教えたり相談に乗る機会を頻繁に設けたりと、オンラインでも職場に溶け込めるよう努めているという。
 半面、オンラインならではの良さも。新入社員や若手の育成に詳しいリクルートマネジメントソリューションズ(東京)の主任研究員の桑原正義さん(50)によると、実際に顔を合わせると上下関係が気になるが、オンラインなら質問や意見を言いやすいという。
 みずほフィナンシャルグループは来年以降、対面とオンラインを組み合わせた新人研修を実施する。オンライン研修は対面での指導ができないため、配属後のコミュニケーションの取り方などに不安は残る。ただ「動画の教材を繰り返し見直せるなど、集合研修にはないメリットを生かしたい」(同社広報室)と話す。
 桑原さんは「オンラインでも研修ができると分かったことで、来年以降もこの流れは加速する」とみる。一方で、今年の新人については「夏場の様子を注意深く見守る必要がある」と強調する。近年の新人は「夏までは頑張ろう」と決め、かつての「五月病」の症状が夏休み前後に出る傾向が強く、コロナ禍が重なった今年は例年以上のケアが大事だからだ。「画面越しでも、こまめに声を掛けるなど安心感を生み出すことに加え、テレワークと出社する日をバランスよく組み合わせることが鍵になる」と話す。

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