南摩朱鳥の屏風 市民の癒やしに 台風19号被害で閉店、元飲食店主が栃木市に寄贈

2020年6月22日 07時47分

南摩朱鳥作「桜図」

 栃木市ゆかりの日本画家、南摩朱鳥(なんましゅちょう)(一九〇六〜六七年)が岩絵の具で描いた二曲一双の屏風(びょうぶ)「桜図」を、栃木市境町で飲食店を営んでいた出井新(あらた)さん(48)が市に寄贈した。サクラやツバキ、竹林など郷土の原風景を描いた高さ百七十センチ超の大作。出井さんは「栃木市民の癒やしになればうれしい」と話している。 (梅村武史)
 屏風は、出井さんの飲食店「シーフードビアハウスFUJI」のフロアで長年、客に公開してきた。昨年十月の台風19号で、店が床上浸水の被害に遭った。屏風は難を逃れたという。だが、店を再開するめどが立たないことから閉店を決め、屏風を市に寄贈することにした。
 南摩は宇都宮市出身。栃木市ゆかりで竹工芸家の斎藤文石(ぶんせき)、日本画家の高野薫邦(くんぽう)らと新興会を結成し、栃木市を拠点に芸術活動に励んだ。

南摩朱鳥作「桜図」の目録を大川秀子市長(右)に手渡す出井新さん=栃木市役所で

 桜図は第二次世界大戦中の一九四四〜四五年の作。かつて、同飲食店の場所で料亭を営んでいた出井さんの祖父塩田朝司(あさじ)さんが南摩の作風を気に入り、自宅に招いて描かせたという。
 隣接する鹿沼市に転居するという出井さんは「台風被害のため、代々住み続けた栃木市を離れることになった。寄贈は市への恩返しです」と話す。
 大川秀子市長は「お心遣いありがとうございます」と感謝を述べた。市教育委員会によると、屏風は二〇二二年度に完成を見込む(仮称)市文化芸術館で公開する予定だ。

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