駅スタンプ、福井の発祥だった 90年前の駅長と部下の会話から誕生

2020年6月22日 14時00分

初代の福井駅スタンプ。藤島神社の社紋や永平寺の山門、織物の布目が図柄になっている=関田祐市さん提供

 鉄道駅に置いてあり、地域の名所や名物があしらわれた「駅スタンプ」。実は一九三一(昭和六)年に福井駅(福井市)で設置されたのが始まりとされている。調べてみると、当時の駅長と部下との会話の中から誕生したことが分かってきた。 (鈴木啓太)
 JR福井駅の現在の駅スタンプは、「恐竜王国の駅」の文字や一乗谷朝倉氏遺跡(福井市)のイラストが入り、福井の玄関口らしい図柄となっている。スタンプそばの台紙の下部に「駅スタンプ発祥の地」と控えめに書かれている。
 かつて発行されていた旅行雑誌「旅」に、駅スタンプが始まった経緯を知る手がかりがあった。鉄道ファンで資料を収集していた新潮社元編集者田中比呂之さん(63)=横浜市=が雑誌のコピーを提供してくれた。
 三一年六月号の記事によると、スタンプは当時の福井駅長、富永貫一さんが「旅行趣味鼓吹」のために考案した。図柄は「丸に一つ引き」の藤島神社(福井市)の社紋や大本山永平寺(永平寺町)の山門、福井の産業の織物の布目で「駅長は之(これ)が全国の先駆となつて、各地の駅にも特色をもつスタムプの普及せむことを念じているがその熱心さには敬服する」と書いている。
 三二年十一月号の記事では、富永さんが、部下との会話から駅スタンプが誕生したという経緯を紹介。

精算所の窓口そばに設けられている現在の福井駅スタンプ=同駅で

 「一つ駅にスタムプを拵(こしら)へて、無料で旅人の請求に応じ、どしどし押す事にしては…きつと大歓迎を受けるよ」との誰かの提案に一同が拍手で賛成した、とある。
 駅スタンプ収集家の関田祐市さん(50)=東京都=によると、「福井駅よりも前に駅にスタンプはあったらしいんです」という。ただ、それらは風景しか入っておらず「駅名と風景が入ったスタンプの体裁を整えた第一号が、福井駅と言われています」と解説する。
 関田さんは二十五年ほど前、この初代駅スタンプが押されたものを兵庫県の九十代の収集家の男性から譲り受けたという。駅スタンプの「一番列車」を走らせた富永さんの功績を「偉大な発明」とたたえる。
 JR西日本金沢支社によると、駅スタンプは三月現在、JR西日本管内で五百十二駅に置かれている。関田さんによると、全国では約五千駅に上る。

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