濃厚接触?でも検査なし 感染者通知アプリ導入「何のため」

2020年6月22日 17時45分

運用が始まった「接触確認アプリ」の画面

 新型コロナウイルスの感染拡大防止や保健所の負担軽減などを狙い、政府が導入したスマートフォン向けの「接触確認アプリ」。ただ感染者と濃厚接触した可能性があると通知を受けても、アプリからの質問に対する答え方によっては、受診につなげてもらえないケースがある。感染したかどうか不安な利用者が、希望してもPCR検査を受けられない状況に、専門家や保健所関係者から「何のためのアプリなのか」と疑問が投げ掛けられている。
 厚生労働省によると、アプリはスマホに搭載された近距離無線通信「ブルートゥース」を利用。アプリを取得した人同士が一メートル以内に十五分以上いると、互いのスマホに接触記録が残る。後日、陽性になった人がアプリに申告すると、接触記録がある人に「陽性者との接触確認」と通知される仕組み。
 接触が確認された人はアプリを通じて症状を入力する。この時、息苦しさや高熱などがあると入力したり、重症化しやすい基礎疾患があると入力したりすると「帰国者・接触者外来等」への受診を案内される。
 症状がない場合でも、家族や友人、同僚らに感染が疑われる人がいると入力すれば受診を案内される。一方、症状がなく、身近に感染を疑われる人もいないと入力した場合は「十四日間は体調の変化に気をつけてください」と表示されるだけで、受診や検査の対象外となる。
 症状や周囲の感染者の有無で対応を分けた理由について、厚労省の担当者は「アプリで通知される人は、あくまで機械的に検出された人。ただちに濃厚接触者というわけではない」と話した。
 この対応について医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は「これでは感染の可能性がある人への検査数増につながらないし、保健所や医療現場、国民のためにもならないだろう」と疑問視する。
 首都圏のある保健所の担当者も、取材に「私たちが濃厚接触者を洗い出す作業の負担軽減にはならない。むしろ、アプリで通知を受けた人からの相談が増えたり、濃厚接触者かどうかを確認する業務が増えたりして混乱を招くのではないか。何のためのアプリなのか」と答えた。
 データ利用に詳しい専門家からは、国がプライバシー保護を重視し「アプリは位置情報や電話番号など個人を特定する情報は取らない」とした結果、濃厚接触を正確に把握するには限界があるブルートゥース方式を採用せざるを得ず、こうした「及び腰」の対応になったのではないかと指摘する声が上がっている。
(共同)

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧