コロナで緩和 オンライン診療 対応施設1.5倍に拡大

2020年6月23日 07時30分

オンライン診療で画面越しに患者に質問する東島さん=名古屋市熱田区のとうじま内科・外科クリニックで

 電話やスマートフォンを使って診察を受けられる「オンライン診療」が急速に広がっている。新型コロナウイルス感染拡大を受けて国が規制を大幅に緩和し、導入する医療機関が増えたためだ。どんな病気でも医師が認めれば初診から利用でき、患者には便利になった一方、医療の質をどう担保するかといった課題も。現場で試行錯誤が続く中、国は七月にも今回の措置の再検討に入る。 (小中寿美)
 オンライン診療は二〇一八年春に解禁されたが、生活習慣病など一部の病気の再診に限られていた。しかし四月、新型コロナの感染を防ぐ時限的措置として全ての病気が対象になり、さらに初診が認められた。厚生労働省によると、当初一万余だった対応施設は、一カ月半で一万五千に増加。四割が初診でも活用している。
 患者はまず、希望する医療機関がオンライン診療を行っているかを確認。予約してスマホのビデオ通話などで診察を受ける。薬は薬局で受け取るなどする−というのが主な流れだ=図。
 一昨年からオンライン診療を実施する名古屋市熱田区のとうじま内科・外科クリニック。利用する患者は措置前の十七人から九十五人に急増した。うち初診は四十人だった。
 半年前から月一回、便秘で通院する女性(42)はオンラインに切り替えた一人。六月半ばの午前、院長の東島由一郎さん(54)はパソコンの画面越しに、分量を増やした飲み薬の効き具合を尋ねた。さらに、女性の求めで塗り薬を出した口周りの湿疹の具合も確かめ、診察は終わった。仕事後に二十分かけて通院していた女性は「どこでも受診でき時間も選べて便利」と話す。
 初診利用者の十四人は発熱など風邪症状のある人だ。そのうち溶連菌感染症の疑いがあった患者は、検査で診断を確定し、抗菌薬を処方する必要があるため来院を促した。こうした可能性も踏まえ、東島さんは「二十分以内でかかれる距離が理想」と話す。
 オンラインの難しさを訴える医師も。生活習慣病の患者が多い愛知県清須市のきよすクリニック院長の伊藤喜亮(よしあき)さん(57)が挙げるのは食事指導だ。患者の付けた記録を見たり効果的な食べ方を資料で見せたりするが、画面越しでは大変。実際、オンラインでの受診後、対面に戻す患者もいた。
 一方、オンラインで発熱した患者を診察した時は相手が安心した。コロナ禍で受診控えも問題になる中、感染を気にせずに済むのは利点だ。忙しい人が治療を続けられる良さもあるため、再流行も見据え、今後も活用する考えだ。
 オンラインが普及しなかった一因は、診療報酬が低く設定されていたこと。ただ今回の措置で差は縮まり、初診料の患者負担(一〜三割)は最大六百四十二円で、対面の四分の三程度に。これとは別に、通話料やシステム利用料を医療機関が設定できるため、患者の実際の負担額は対面より増える場合もある。

◆医療の質や費用「丁寧に検証を」

 厚生労働省は初診の解禁などを知らせる四月十日の事務連絡で、実用性や安全性を三カ月ごとに検証する考えを示した。しかし「政府の会議では措置の恒久化を求める声が出始めた」とニッセイ基礎研究所主任研究員で医療政策が専門の三原岳さん(47)。「コロナのムードに乗った議論でなく、医療の質や受診のしやすさ、費用への影響を丁寧に見る必要がある」と話す。
 オンライン診療の解禁を巡っては、医療の質を担保する観点から日本医師会が対面診療を重視し、厳しい要件が付いた。三原さんは「触診や直接の視診ができない分、患者の状態は把握しにくく質の低下のリスクは拭い切れない」と指摘。多くの情報が得られる初診は原則対面に戻し、技術革新や感染状況を踏まえて対応する方法を提案する。

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