沖縄「慰霊の日」 辺野古の見直し避けられぬ 上智大・宮城大蔵教授

2020年6月23日 07時59分

沖縄慰霊の日について語る上智大学の宮城大蔵教授

 沖縄県は二十三日、沖縄戦終結から七十五年となる「慰霊の日」を迎えた。戦後、米軍基地の負担に苦しんできた沖縄で、政府は今も県民の民意に反し、名護市辺野古(へのこ)の新基地建設を進めている。沖縄の米軍基地縮小などについて議論する県の諮問機関「万国津梁(しんりょう)会議」で委員を務める上智大の宮城大蔵教授(国際政治史)に、沖縄政策のあるべき形を聞いた。 (聞き手・山口哲人)
 −政府は、辺野古を米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の唯一の移設先と位置付けている。
 「普天間の早急な危険性除去が新基地建設の目的だが、予定海域で軟弱地盤が確認された。完成まで十数年以上かかることが分かり、目的が達成されないことがはっきりした。日米両政府と県が関与する形で、早急な危険性除去を可能にする方途を見いだすべきだ」
 −政府は地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を秋田、山口両県に配備する計画の停止を表明した。
 「政府は辺野古が唯一の解決策と言ってきた以上、方向転換は難しいだろうが、このままではいつまでも軟弱地盤による地盤沈下と財政負担に苦しめられる。辺野古も地上イージスのように見直しは不可避だ」

◆基地軽減 自治体で連携を

 −沖縄の基地負担軽減をどう進めるべきか。
 「自治体レベルの連携は大きな可能性がある。故翁長雄志(おながたけし)前知事も基地負担の軽減と日米地位協定の見直しを全国知事会で問題提起し、全会一致で採択されて日米両政府に提言した。青森県三沢市や山口県岩国市など米軍基地は全国にあり、負担を感じる自治体は多い。連携して政府に働き掛け続けることが重要だ」

昨年の沖縄全戦没者追悼式に参列した安倍晋三首相(手前)。右列手前は、視線を向けない玉城デニー沖縄県知事=沖縄県糸満市の平和祈念公園で

 −新型コロナウイルス感染拡大防止を受け、今年の沖縄全戦没者追悼式は規模を縮小した。
 「今年は安倍晋三首相は参列しないが、これまでは県民が安倍氏に怒りの声をぶつける象徴的な場となっていた。首相は辺野古新基地に反対する民意や、それが示された選挙結果を無視して埋め立てを続けながら『沖縄の心に寄り添う』と臆面もなく言う。本来は犠牲者への静かな祈りの場であるべきだが、首相の言葉と実態のギャップが人々を突き動かしている」
 −国民は沖縄戦とどう向き合えば良いだろうか。
 「沖縄は本土の盾にされ四人に一人が亡くなる激烈な地上戦に巻き込まれた。戦後は日本から分離され、今も多くの米軍基地がある。日本は平和国家として歩む半面、『基地は沖縄で』という面があった。沖縄では他の都道府県と異なる状況が続いていることを忘れてはならない」
 「一方、北海道にはサハリンや北方領土からの引き揚げ者がいる。東京では大空襲、広島と長崎では原爆と、それぞれの地域に戦争の爪痕がある。『沖縄対本土』という対立の発想だけでなく、それぞれの戦争の記憶もしっかり受け止めることも大切だ」
<みやぎ・たいぞう> 1968年東京都生まれ。NHK記者として両親の出身地の沖縄で勤務後、一橋大院を修了。政府の国家安全保障局元顧問。現在は上智大総合グローバル学部教授。共著に「普天間・辺野古 歪められた二〇年」など。

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