沖縄戦75年 平和の詩朗読の高3・高良さん、感謝と決意込めて

2020年6月23日 14時26分

平和の詩を朗読する高良朱香音さん=23日、沖縄県糸満市の平和祈念公園で(嶋邦夫撮影)

 戦禍を生き延びたあなたのおかげで今がある−。高良朱香音さんは、平和の詩「あなたがあの時」に感謝とバトンをつなぐ決意を込め、23日の沖縄全戦没者追悼式で、会場の一人一人に語り掛けるように、ゆっくりと読み上げた。
 高校1年のころ、平和学習で入った激戦地の壕(ごう)。真っ暗闇での経験から、当時を生きた人々に思いをはせた。迫り来る悲劇を知らなかった幼子や、独りぼっちになった少年、少女。敵から隠れるため母親が泣いた赤ん坊の殺害を強いられる中、声を上げずに助かった子。捕虜になるなとの教えに背き、少女に投降を促して命を救った人…。
 「ありがとう」。命がつながれて自分が今ここにいること、生き残った人たちが今の沖縄を築いてくれたことに、感謝の思いが込み上げた。
 特定の人ではなく、聞かせてもらった体験談などから想像した「あなた」。これまで体験者に寄り添う受け身の姿勢だったが、自身の立場から沖縄戦を振り返り、彼らに何を伝えられるか考えた。「悲惨な時代を生き抜いた人たちの気持ちが、少しでも楽になれば。真っすぐに届いてほしい」
 声を発する側になり「同世代の人とも、平和について話せるようになったらいいな。詩を聞いて思うことがあれば、発信してほしい」と願う。希望の光を消さない、消させない−。託されたバトンをどうつないでいけるか、模索している。

◆平和の詩 全文

あなたがあの時
「懐中電灯を消してください」
一つ、また一つ光が消えていく
真っ暗になったその場所は
まだ昼間だというのに
あまりにも暗い
少し湿った空気を感じながら
私はあの時を想像する
あなたがまだ一人で歩けなかったあの時
あなたの兄は人を殺すことを習った
あなたの姉は学校へ行けなくなった
あなたが走れるようになったあの時
あなたが駆け回るはずだった野原は
真っ赤っか 友だちなんて誰もいない
あなたが青春を奪われたあの時
あなたはもうボロボロ
家族もいない 食べ物もない
ただ真っ暗なこの壕(ごう)の中で
あなたの見た光は、幻となって消えた。
「はい、ではつけていいですよ」
一つ、また一つ光が増えていく
照らされたその場所は
もう真っ暗ではないというのに
あまりにも暗い
体中にじんわりとかく汗を感じながら
私はあの時を想像する
あなたが声を上げて泣かなかったあの時
あなたの母はあなたを殺さずに済んだ
あなたは生き延びた
あなたが少女に白旗を持たせたあの時
彼女は真っ直ぐに旗を掲げた
少女は助かった
ありがとう
あなたがあの時
あの人を助けてくれたおかげで
私は今 ここにいる
あなたがあの時
前を見続けてくれたおかげで
この島は今 ここにある
あなたがあの時
勇気を振り絞って語ってくれたおかげで
私たちは 知った
永遠に解かれることのない戦争の呪いを
決して失われてはいけない平和の尊さを
ありがとう
「頭、気をつけてね」
外の光が私を包む
真っ暗闇のあの中で
あなたが見つめた希望の光
私は消さない 消させない
梅雨晴れの午後の光を感じながら
私は平和な世界を創造する
あなたがあの時
私を見つめたまっすぐな視線
未来に向けた穏やかな横顔を
私は忘れない
平和を求める仲間として
=原文のまま 沖縄県平和記念資料館提供
(共同)

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧