住民投票案否決 これが民主主義なのか

2020年6月24日 07時52分

 日本原子力発電東海第二原発再稼働の賛否を問う県民投票条例案が、茨城県議会で否決された。立地県レベルでは、静岡、新潟、宮城に続く門前払い。どうすればより広く民意を反映できるのか。
 二十三日の茨城県議会本会議。県民投票条例案は、過半数を占める「いばらき自民」などの反対で否決となった。
 条例案は十八日、防災環境産業、総務企画の両委員会による「連合審査会」を経て、防災環境産業委で否決されていた。
 実質審議はこの審査会での一日だけという“スピード採決”だった。連合審査会では、次のような反対意見が相次いだ。
 「民間企業の行く末を議会が決定することの矛盾や、賠償等の懸念もある」「安全性の検証、避難計画の策定の双方とも終了しておらず、県民に対して公平で必要な情報を提供できる状況にはない」「投票結果は法的拘束力を持たないが、議会や首長の議論に制限をかけることになる」−。「条例案に投票時期が明示されていないから」という意見もあった。
 いずれも不可解で、条例制定を求めて署名した九万近い人の願いを門前払いするに足る理由にはなっていない。
 条例制定は、福島同様、東日本大震災で被災した東海第二原発の安全性に疑問を持ち、避難計画策定の難航に不安を覚えた多くの県民が、再稼働の可否について、事実上、再稼働に関する同意権を持つ県の判断に意見を反映させてほしいと、請求したものだ。
 署名を集めた「いばらき原発県民投票の会」は、初めから再稼働に「賛成せよ」とも「反対せよ」とも言ってはいない。賛否の垣根を外して広く県民の声を聴き、その声を議論の“鍋”に入れてほしいと、望んでいるだけなのだ。なぜ、それすら拒むのか。さらに丁寧な説明が必要だ。
 東海第二原発は首都圏にある唯一の原発だ。国から避難計画の策定を義務付けられる三十キロ圏内に、全国最多の九十六万人が暮らしている。このため、再稼働に関しては、立地自治体だけでなく、周辺五市を含めて「実質的に事前了解を得る」という協定を原電と結んでいる。
 民間の事業の行く末を議会が決定することが矛盾であるとするならば、同意権すら否定することになりかねない。
 県民の不安に目をつむり、耳をふさいだ県議会。これが民主主義なのか。

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