フリーランス労働者の労災、対象を拡大へ 政府が方針
2020年6月24日 13時59分
◆フリーランスは462万人と試算
政府は23日、個人事業主などフリーランスで働く人を保護するため、労災保険に加入できるよう制度を改正する方針を固めた。現在例外的に加入できる人もいるが、対象を拡大する。政府が25日に開く全世代型社会保障検討会議の中間報告に明記する。政府は多様な働き方としてフリーランスを推進しており、仕事でけがや病気になった場合でも公的な補償を受けられるようにする。
フリーランスで働く人を巡っては、新型コロナウイルスの感染拡大を受け補償など法的保護が不十分な実態が浮き彫りになり、改善を求める声が高まっている。政府試算では、フリーランスは462万人に上る。
労災保険は原則企業などに雇われた人が対象。フリーランスのような自営業者でも労働者と似た働き方をしていると認められる場合、例外的に「特別加入制度」が設けられている。現在は個人タクシーの運転手や建設現場の一人親方などの職種に限られている。
◆「特別加入制度の対象拡大を検討」
政府が25日にまとめる全世代型社会保障検討会議の2回目の中間報告に「フリーランスとして働く人の保護のため労災保険のさらなる活用を図るべく、特別加入制度の対象拡大等について検討する」と盛り込む。
厚生労働省が今後、制度の詳細を設計して省令を改正する方針だ。
◆俳優連合が加入対象を求める
俳優らでつくる協同組合「日本俳優連合」が、芸能分野で働くフリーランスを加入対象とするよう求めていた。
政府の全世代型社会保障検討会議は昨年末に中間報告を作成。今月に最終報告を取りまとめる予定だったが、新型コロナの影響で年末に延期した。今回の会議では、フリーランス保護の強化に向けたルール整備などを取り上げ、2回目となる中間報告をまとめる。
(共同)
◆フリーランス 会社などの組織に属さず個人で、さまざまな発注者から仕事を請け負う働き方。インターネット上の仕事仲介サービスの普及で増加している。内閣官房が今年実施した調査では全体で462万人、このうち本業は214万人、副業は248万人と試算された。雇用関係がない働き方のため、最低賃金や労災保険など、労働法制による労働者保護の対象とならない。個人事業主の呼称も使われる。厚生労働省によると、法令上の明確な定義はないが、IT技術者やデザイナーから、芸能人、プロスポーツ選手まで幅広い分野の人々を含む。建設業の「一人親方」も古くからある形態だ。
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