売りだった生中継。スポーツ専門チャンネルの新たな日常は<準備OK!スポーツが戻ってくる>

2020年6月25日 05時51分

プロ野球が開幕し、各局のスポーツ中継も再開した=東京・内幸町の中日新聞東京本社

 「スーパーラグビー2018決勝」「2013ワールドベースボールクラシック」…。生放送が身上のスポーツ専門チャンネル「J SPORTS(ジェイ・スポーツ)」の番組欄にはこの数カ月、過去の試合を放映するプレーバック番組が並んだ。亀井宣晃編成部長(45)は「スポーツがない日々を送るなんて想像もしていなかった。その中でもやれることはやってきた」。スポーツクライミングの選手がオンライン出演で自分のプレーを解説する番組や、自転車などのオンラインによる大会の実況など、限られた素材で工夫を重ねてきた。
 視聴者が1番に求めるのは生中継。多くのスポーツが開幕を迎える3、4月は新規加入者が増える時期だが、今年は「大変厳しい状況」。例年、この期間はほとんどいない解約者も「想定範囲内の数値ではあったが、一定数いた」と苦しげに明かす。
 同社はこれまで、同時に進む複数の試合をライブで放映できるよう、チャンネルを4つにまで増やし、年間で計5000時間超の生中継を行ってきた。亀井部長は「スポーツは、何が起きるか分からない不確実性に魅力がある。ライブで見たくて当社と契約しているお客さまに応えたい」と、生放送にこだわる。
 本来なら東京五輪・パラリンピックイヤーを迎え、企画もめじろ押しだっただけに、「スポーツが一般の方々から少しずつ離れてしまうのでは」と現状に焦りも感じる。19日に開幕したプロ野球の中継や、ニュージーランドで再開したスーパーラグビーの見どころを紹介する特別番組などを放映し、機運を盛り上げようと必死だ。
 スポーツが再開しても、新型コロナウイルスの感染が終息していない現状では、これまで通りの中継体制も組めない。なるべく密集を避けるため、現場スタッフ数も限られ、「一人が二役を兼務しながらやれるかという検討もしている」という。
 プロ野球など当面は無観客で開催され、ファンの声援が聞こえない異様な光景も続く。「正直、臨場感に欠ける部分もある。だからこそ、通常以上に何を伝えていくか、どんな情報があれば視聴者が試合を楽しめるのかを考えながら、盛り上げられるような演出ができれば」と亀井部長。スポーツの“新たな日常”をどう伝えていくか。模索は続く。(兼村優希)

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