ドームに響いたブルペン投球の音 無観客試合に挑む実況アナウンサー<準備OK!スポーツが戻ってくる>

2020年6月25日 05時53分

プロ野球の開幕戦、西武―日本ハムの試合で実況席に座る谷口広明さん=19日、メットライフドームで(本人提供)

 ブルペンで投手が1球を投じる度に、「パシーン」とミットを捕らえる小気味よい音が響く。19日にメットライフドームで行われたプロ野球開幕戦、西武―日本ハムの試合。CS番組で実況したフリーアナウンサーの谷口広明さん(48)には、そのささいな音が新鮮だった。
 「(新型コロナウイルスの影響で)無観客だからこそ聞こえる音。ブルペンでもテンションを上げて準備してるんだなと伝わってきた」。練習試合は何度か実況してきたが「公式戦は緊張感が違う。自分も引き込まれた」と声を弾ませた。
 ラグビーや野球、自転車などを担当し、この道20年。ほぼ毎日あった実況は一時、月2回程度にまで減った。日頃は対面で選手をつかまえ、「自分だけが聞いた話を実況で使う」のがポリシー。だが、2月末ごろから感染防止のため、オンラインの合同取材などに切り替わり、単独での情報収集ができなくなった。「ネタの蓄積はゼロに戻った。それで放送席に座ることにジレンマを感じる」とも語る。
 4月末、1カ月ぶりの実況は、選手が各拠点から仮想空間で競う自転車のオンラインレースだった。「これからこういう分野も熱くなる。対応せな」。刺激も受けつつ、「『映像見て、離れててもできるやん』となったら、放送スタイルも変わってくるかもしれない」との危機感もある。
 情報不足で実況に臨まざるを得ない現状も「実況席から単にボールを追っているだけじゃ、面白くない。アナウンサーの評価もかなり分かれそう」とシビアに受け止める。
 その分、開幕戦では、ベンチから聞こえてくる選手の声も積極的に取り上げ「現場の雰囲気を伝えよう」と努めた。ブルペンの投球音もそうだ。「細かな音やわずかな違いを伝えられる実況者でありたい」と気持ちも新たに挑むつもりだ。(兼村優希)

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