敵基地への攻撃能力って? 専守防衛から逸脱する恐れ指摘も<Q&A>

2020年6月25日 05時50分
 政府が国家安全保障会議(NSC)で始めた安全保障戦略の見直し議論は、安倍晋三首相が検討に意欲を示した敵基地攻撃能力の保有の是非が大きな焦点になりそうです。ただ能力の保有は専守防衛から逸脱する恐れも指摘されています。(山口哲人)
 Q 具体的にどんな「能力」なの。
 A 敵対国の基地を攻撃する性能がある長距離ミサイルなどの装備のことです。例えば、敵対国が日本を標的に攻撃ミサイルを発射しようとしている場合、日本がその兆候を探知した段階で長距離ミサイルなどを使って発射拠点を事前に破壊し、攻撃を防ぐことが想定されます。
 Q 攻撃すれば、戦争に発展しませんか。
 A 敵対国は日本からの先制攻撃と見なして反撃してくる可能性が高く、戦争状態に陥るなど事態をより悪化させる恐れがあります。能力の保有には、発射拠点の位置の特定や、敵対国の防空網を無力化するなどの防衛力の一層の強化が求められます。関連装備を整えるには「いくらかかるか分からない」(防衛省幹部)ほど巨額の費用も必要になります。
 Q 戦争放棄や交戦権の否認などを規定した憲法九条に反するのでは。
 A 政府は「攻撃を防ぐのにやむを得ない最小限度の措置を取ることは、自衛の範囲に含まれる」として、憲法上可能との立場です。それでも歴代政権は専守防衛の観点から、敵基地攻撃能力は保有しないとの政策判断を維持してきました。同盟関係にある日米間には、攻撃の「矛」は米軍に委ね、自衛隊は防衛の「盾」に徹する関係にありますが、日本が敵基地攻撃能力を持つことになれば、この役割分担も崩れることになります。
 Q 周辺国を刺激する心配は。
 A 近隣諸国に脅威を与えかねない防衛政策の大転換で、反発を招くのは間違いありません。各国に新兵器の開発や軍備増強を加速させる口実を与え、軍拡競争につながる懸念もあります。

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