自民Twitter炎上で注目 「ダーウィンの進化論」とは

2020年6月26日 05時55分
 ダーウィンの進化論がにわかに注目を集めている。自民党がツイッターで「生き残ることができるのは変化できる者である」という言葉を紹介し、改憲を訴えたためだ。ところが、これはダーウィンの言葉ではなく、進化論の理解も誤っているという。進化論とはどんな学説で、「変化できる者」は誰が発した言葉なのか。(稲垣太郎)

◆自民広報キャラ「生き残るのは変化できる者」に批判殺到

 この投稿は自民党広報の公式アカウントで19日に行われた。「進化論」と題した4コマ漫画で、ダーウィンならぬ「もやウィン」を名乗るキャラクターが「ダーウィンの進化論ではこういわれておる」と説明を始め、生き残るのは「最も強い者」でも「最も賢い者」でもなく、「変化できる者」と示す。そして「日本をより発展させるためにいま憲法改正が必要と考える」と強引に結んだ。
 投稿直後から「進化論とも関係ないし、ダーウィンも一言も言ってない」「あんまり適当なこと言わない方がいいよ」などと批判の投稿が相次いだ。

◆民族差別に優生学…都合よく誤用

 ダーウィンの進化論。多くの人が聞いたことはあるし、あちこちで引用される。だが、間違えて理解している人も多い。
 「またか」。東京大大学院の佐倉統教授(科学技術社会論)は、ツイッターで話題になっていたこの4コマ漫画を読み、がっかりした。「ダーウィンが生きていた時から進化論はいろいろな形で誤用された。民族差別だったり優生学だったりと都合のいいように使われてきた」。そんな負の歴史があるからだ。

◆「環境への適応」であって「変化」ではない

 では、進化論とはどのようなものなのか。佐倉氏は「生物の同じ種の中でも個体によって形質にばらつきがある。例えば、背の高いものの方が有利だとすれば、長生きをしたり子孫をたくさん残したりすることができる。環境により適応した形質を持つ個体が増えていき、新しい種が生じるといった進化につながっていく」と説明する。
 日本人間行動進化学会会長で総合研究大学院大学長の長谷川真理子氏(行動生態学)も「ある集団が何代も世代を経て、どんな変化が起こったかということで、個体の話ではない」と説明する。
 つまり、ダーウィンの進化論は、環境により適応した個体が子孫を残していくということ。変化の結果で生き残ることはあっても、生き残ろうと変化していくものではないのだ。

◆二階幹事長「ダーウィンも喜んでるでしょ」

 では「変化できる者」は誰が言い出したのか。長谷川氏は「1963年にアメリカの経営学者レオン・メギンソンが、ダーウィンの『種の起源』を読んだ感想を論文の中に書いた。何度も何度も引用されるうちに、『ダーウィンはこう言った』になってしまった。学問的に誤りだと指摘されている」と語った。
 この誤用騒動。自民党の二階俊博幹事長は23日の記者会見で「(誤用と指摘した)発言者の真意は確認していないので分からないが、学識のあるところを披歴されたのではないか」とし「ダーウィンも喜んでいるでしょう」と述べた。

◆鈴木哲夫氏「次元の低い話」

 本当にダーウィンは喜ぶだろうか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「あまりに次元の低い話。天国にいるダーウィンは喜ぶどころか気付いてもいないのでは」と苦笑する。
 そして鈴木氏は「二階さんも、自民党のベテラン議員たちがよく言うきつい冗談のノリでポロッと言ったんだろう。自民党は長く与党でやってきたから広報に力を入れる必要がない。さらに安倍一強が続いている緩みの中で、今回のようなことが起き続けているのではないか」とあきれた。

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