グーグルが配信記事に対価 コロナ不況で「ただ乗り」批判に譲歩<メディアと世界>

2020年6月27日 06時00分

ニュースアプリについて説明された米グーグルの開発者会議=2018年5月、米カリフォルニア州マウンテンビューで(共同)


 【ワシントン=白石亘】米グーグルは25日、ニュースを提供する報道機関に使用料の支払いを始めると発表した。ドイツとオーストラリア、ブラジルの3カ国の一部のメディアが対象で年内に始める。現在、他に6カ国の報道機関と協議を進めているが、日本が対象になるかは未定という。
 グーグルは検索などでニュースを表示するが、これまで記事の対価の支払いを拒んできた。だが、新型コロナウイルスによる不況で報道機関の経営は急速に悪化。これを受け、各国の規制当局は支払いの義務化など圧力を強めており、グーグルは一定の譲歩は避けられないと判断したようだ。
 グーグルは「報道機関がコンテンツを収益化するのを支援する」として、年内に始める新たなサービスに質の高い記事を提供する報道機関に対価を支払う。またグーグルが負担を肩代わりする形で、メディアが運営するサイトで有料記事を無料で読めるようにする。
 ニュースの閲覧方法が紙からネットに移り、伝統的な新聞社などは広告収入が激減。デジタル広告で高いシェアを握るグーグルに収益が流れたが、グーグルは取材にかかる経費を負担せず、ニュースを利用しているとして批判されてきた。
 さらに新型コロナによる不況で広告収入が落ち込みメディアの経営難は深刻化。これを受け、オーストラリア政府は4月、グーグルとフェイスブックにニュース使用料の支払いを義務付ける方針を発表した。フランス政府も4月、グーグルに報道機関と記事使用料の支払いを協議するよう命じるなど包囲網が狭まっていた。
 英紙フィナンシャル・タイムズによると、今回のグーグルの決定に関し、対価を支払うのは一部のメディアのみで、支払われる金額も少ないとして、報道機関の幹部には、政府が法律で体系的な支払いを強制する手法を望む声があるという。また仏ではグーグルとの交渉で、メディア側がすべての報道機関を支払いの対象とするよう要求しているとされ、ニュースの収益をどのように分配すべきか、紆余曲折がありそうだ。

関連キーワード

PR情報

国際の新着

記事一覧