メガバンクが石炭火力に融資停止 環境団体は「海外に比べ周回遅れ」

2020年6月27日 16時57分

東京メトロ豊洲駅前に並ぶ3大メガバンクの看板=東京都江東区で


 石炭火力発電が地球温暖化を加速させているとの批判を受け、3メガバンクがそろって、新規の石炭火力への投融資をしない方針を示している。ただ、海外の銀行に比べれば「甘い」との指摘も。石炭火力を主力電源とする政府の方針も変わらない。環境保護団体は「日本は周回遅れ」と危惧する。(大野孝志)

◆融資残高ゼロ目標、みずほFGは10年早める

 みずほ、三菱UFJ、三井住友の各フィナンシャルグループ(FG)は昨年以降、二酸化炭素(CO2)を多く排出する石炭火力の新設事業への融資停止を相次いで発表した。みずほFGはさらに、2019年度末で約3000億円の石炭火力への融資残高を50年度までにゼロにするとした。25日の株主総会で、その目標を10年早めるとした。
 総会では環境団体の気候ネットワークが、石炭火力からの融資撤退につながる文言を定款に加えるよう株主提案した。反対多数で否決されたものの、3割強の賛成があったという。
 こうした動きの背景には、石炭火力に巨額を投じてきた三メガバンクへの海外からの批判がある。オランダの非政府組織(NGO)などが石炭火力の開発企業への17年1月~19年9月の融資額をまとめたところ、1位はみずほFGの168億ドル(約1兆8000億円)、2位は三菱UFJFGの146億ドル、3位は三井住友FGの79億ドルで、世界の1~3位を独占した。

◆「パリ協定」で脱石炭迫られる日本

 一方、日本は1997年の京都議定書で、CO2など温室効果ガス排出量を12年度までに90年度に比べ6%削減すると掲げ、海外の排出枠を買うなどして何とかクリア。地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定」では、2030年度には13年度比で26%削減するとしており、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの推進と「脱石炭」を迫られている。
 ところが、エネルギー基本計画は石炭火力を、コストが安く安定して発電できるベースロード電源と位置付けている。気候ネットワークによると、国内で稼働している石炭火力は少なくとも126基で、さらに20基が計画中。全発電量の三割を占めている。半面、推進するべき再生エネは発電量の18%にすぎず、ドイツの40%に比べて大きく遅れている。
 「狭い国土に、恐ろしい数の石炭火力がある。日本の動きは海外に比べて周回遅れです」と同ネットの鈴木康子氏が指摘した。「銀行も企業も海外からの圧力を認識し、パリ協定に向かって動きを加速させねばならない時期に来ている」
 実際、脱石炭にシフトしているのは銀行だけではない。事業に必要な電力を再生エネで100%調達することを目指す国際的な企業連合「RE100」に、大手メーカーなども加わっている。

◆重大な抜け穴ある「ほんの最初の一歩」

 「三メガバンクの動きは、ほんの最初の一歩。しかも重大な抜け穴があり、不十分」。国際環境団体グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当ハンナ・ハッコ氏が語る。問題点として、進行中の計画など複数の例外が存在するほか、石炭火力に関わる企業への資金提供に制限が設けられていないといった点を挙げた。ハンナ氏は「企業や自治体が気候変動対策のゴールを独自に設けているが、もっと政府がリーダーシップを」と提言する。
 田村正勝・早稲田大名誉教授(社会哲学)も「日本の環境政策は欧州より遅れている。3メガバンクの動きは、今の地球の状態を見れば当然。政府はCO2の排出を具体的に規制し、方向を定めた地道な政策を進めるべきだ」と語った。

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