双葉病院の遺族が東電提訴へ 救助されず遺体3週間放置

2020年6月28日 05時50分
佐藤久吾さんの遺影を持つ長男久男さん=福島県いわき市で

佐藤久吾さんの遺影を持つ長男久男さん=福島県いわき市で

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 2011年3月の東京電力福島第一原発事故で、福島県大熊町の双葉病院に入院していた佐藤久吾さん=当時(87)=が適切なケアを受けられず院内で死亡し、遺体を約3週間放置されたとして、佐藤さんの子ども5人が東電に計約4400万円の慰謝料などを求めて、福島地裁いわき支部に近く提訴することが、分かった。
 遺族は共同通信の取材に「原発事故前、父の容体は安定していた。私たちは家族をみとり、死後すぐに弔う権利を奪われた」と訴えている。
 代理人弁護士によると、11年3月12日、政府の避難指示を受けて病院と系列の老人保健施設では、自力で歩ける患者、入所者らが町の手配したバスで避難。一方で寝たきりの佐藤さんを含む計228人は次の救援まで、わずかな医療スタッフと残留せざるを得なかった。同日午後に原発で1号機が水素爆発。救援を待つ中、佐藤さんは14日早朝に死亡が確認された。
 佐藤さんの行方を捜していた遺族は同年4月3日、病院側からの電話で、死亡の事実と遺体が取り残されていたことを初めて知った。死亡診断書で死因は肺がんとされたが、遺族側は原発事故の影響でたん吸引などを行えなくなり、窒息や呼吸困難に至ったと訴えている。
 東電は「訴状が送達されたら、請求内容を詳しく伺った上で真摯に対応します」とコメントした。
 双葉病院は原発から4・5キロに位置し患者らは過酷な避難を強いられた。他の遺族も東京、千葉地裁に同様の訴訟を提起。勝訴が確定したり、東電からの金銭支払いを条件に和解したりしている。(共同)

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