<都知事選>五輪会場は今 熱気 いずこ…

2020年6月28日 07時05分
 新型コロナウイルス感染症の広がりで延期となった東京五輪・パラリンピック。18日に告示された東京都知事選では、開催の是非や時期についても争点の一つになっている。本来ならあと1カ月弱で、世界中からアスリートや観客が詰め掛ける予定だった競技会場は今、どうなっているのか。

◆お台場・遠い海辺 開放予定も続く閉鎖

港区・お台場海浜公園は工事のためレジャー客は入れない

 「海辺に入れなくて寂しい。憩いの場なのに」。東京都港区台場のお台場海浜公園に、四歳の娘と妻と訪れた渋谷区の会社経営、早坂好幾(よしのり)さん(34)は、立ち入り禁止のパネル前で残念そうに話した。
 トライアスロンと水泳(マラソンスイミング)の会場となったお台場海浜公園は、もともと都内有数のレジャースポット。海辺を楽しめる貴重な都立公園として多くの人でにぎわう場所だが、現在は五輪会場設営の工事のため、昨年末から閉鎖されている。ビーチサンダル姿の親子連れが「これじゃ遊べないね」と引き返し、行き場をなくした若者らが近くのデッキで日光浴をしていた。
 都は「来年まで開放しないというわけでなく、都民の利用に向けて開放できる所はしたい」と、部分的に仮設物を撤去して、来月中旬以降にビーチの一部やシャワー施設などを開放するという。

◆有明・野ざらし 大会組織委「工事は一時中止の方針」

江東区・有明アーバンスポーツパークのBMXコースには雑草が生えている

 自転車競技(BMXフリースタイル、BMXレーシング)とスケートボードの会場となる江東区有明の「有明アーバンスポーツパーク」は、ゆりかもめ「有明テニスの森」駅のホームから、凸凹のBMXのコースが一望できる。砂利が盛られて成形されたコースは野ざらしで、所々雑草が生えた荒涼たる光景に。仮設スタンドは一部の座席が取り付けの途中のままに置かれ、閑散としていた。
 会場の工事について大会組織委員会は「原則として全会場の現場を安全な状態にしたうえで、一時中止にする方針で動いている」とコメント。仮設工事が進んでいる会場については「施設側の事情や安全性等の観点から長期の放置が難しい場合については撤去する」という。国際オリンピック委員会(IOC)と組織委が大会の簡素化やコスト削減の方向性を確認したが、追加で必要となる延期に伴う維持管理費用や撤去、再工事の費用について、組織委は詳細を明かしていない。数千億円ともいわれる追加負担の多くを都が負担する可能性がある。

◆青海・解体撤去 クライミングの壁 劣化防止で

江東区・青海アーバンスポーツパークでは劣化防止のためクライミングの壁が取り外された


今月4日、まだ壁の一部は残っていた

 初めて五輪競技になったスポーツクライミングやバスケットボール(3×3)などの会場「青海アーバンスポーツパーク」(江東区青海)では、クライミングの壁が劣化防止のため一時的に重機で取り外され、仮設スタンドの足場も解体する作業が進んでいた。
 東京五輪スポーツクライミングの大会公式役員に日本人で唯一選出された国際ルートセッターの岡野寛さんは「五輪競技になることで、一般の人もクライミングを目にする機会が増えてさらに普及するチャンスだった」と延期を惜しみつつ、五輪開催の可否について「各競技団体でコロナを見据えたガイドラインを作って、それを守りながら最終的に安全に開催できるといい」と期待した。

◆「中止」「来年開催」「再延期」各候補訴え

 東京五輪・パラリンピック開催について、都知事選に立候補した山本太郎さんは「中止でいい。ワクチンがない以上、開催都市として責任が持てない」、小池百合子さんは「簡素化して都民の理解が得られる形で来年開催」と強調する。宇都宮健児さんは「専門家が開催困難と判断した場合、中止をIOCに働き掛ける」、小野泰輔さんと立花孝志さんは「2024年に再延期」を訴えている。
文・長竹祐子/写真・隈崎稔樹

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