こんな時こそ動画で活弁 麻生八咫さん親子、新たなチャレンジ

2020年6月28日 07時09分

「吸血鬼ノスフェラトゥ」の映像を示し、あそう活弁TVをPRする麻生八咫さん(右)と子八咫さん親子=台東区で

 ピンチをチャンスに−。新型コロナウイルスの影響でライブでの活躍の場を失った活弁士の麻生八咫(やた)さん(68)、子八咫さん(34)の親子が、動画投稿サイト・ユーチューブの「あそう活弁TV」をフル活用し、日本独特の話芸の発信に力を入れている。七月に浅草公会堂(台東区)で予定していた大きな公演も中止になったが、八咫さんは「(文化庁の)芸術祭大賞を目指し、今は芸を磨く時。収束の際には、浅草で活弁を堪能して」と意気盛んだ。 (井上幸一)
 活弁は、無声映画(活動写真)のスクリーンの脇でせりふや解説を語る芸で、大正から昭和初期にかけ人気を呼んだ。昨年末公開の映画「カツベン!」(周防(すお)正行監督)で再び脚光が当たっていたが、コロナで披露の場は激減。麻生親子も二月十九日の明治記念館(港区)を最後に、表舞台はなくなった。
 あそう活弁TVは、二年ほど前に開設。公演を客席の端などから撮影し、そのままアップしてきた。埼玉県草加市の自宅兼稽古場で過ごす時間が増えた子八咫さんは、普段の記録ではなく、視聴者を意識した本格映像の制作に着手。仮面をかぶった八咫さんが語り続ける活弁朗読「吸血鬼ノスフェラトゥ」や、二〇一五年に長野市でロングラン公演をした作品を室内で撮り直した「活弁絵巻 善光寺縁起」などを公開した。
 子八咫さんは今回、父で師匠の八咫さんの活弁を細かく映像でチェックし、舞台では見逃してきた粗や癖を指摘した。「娘の私にしかできないこと。飛躍のステップに」と子八咫さん。八咫さんは「何回も聞くと、故郷の大分なまりになっていた部分に気づいた」と、七十歳を前にして自己変革に余念がない。
 二人は二十四日、北九州市の映画館のイベントにオンライン出演し、客席とトーク。子八咫さんは「楽しかった。活動の幅が広がるチャンス。不慣れでも、今できることをしないと」と語る。ネットの「あそう活弁ショップ」で、CD、バッジなどのグッズ販売も始めた。さまざまな可能性を試しつつ、二人は過ごしている。

麻生親子の自宅にあるモニターに映し出された北九州市の映画館の客席。2人はオンラインで交流した(「あそう活弁」提供)

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