[吾輩は野良の猫である] 愛知県半田市 石黒峻登

2020年6月28日 07時10分

◆「わたしの絵本」 300文字小説 傑作選

イラスト・まここっと

<まここっと> 雑貨ブランドSWIMMERの元デザイナー。代表キャラクターは「りんご王子」。現在は独立してMa cocotte(マココット)ブランドを立ち上げ、展示会などで活躍中。メルヘンの中にレトロを盛り込んだタッチに定評。

◆300文字小説 川又千秋監修

[秘密の場所] 愛知県豊田市・中学生・15歳  加藤春花 

 あなたにだけ、私の秘密の場所を教えてあげましょう。
 いいですか。誰にも言ってはいけません。
 いつもの散歩の帰り道、稲穂に囲まれた一本道を通ったら、電柱から三つ数えるのです。
 そこにある、三つ目のシロツメクサのかたまりが、とっておきの秘密の場所。
 そこにしゃがんで目を凝らすと、たくさん見つかるはずです。
 大きくて立派な四つ葉から、小さくてちょうちょみたいな四つ葉まで。
 私がこの前数えたら、十五以上はありましたよ。
 けれど、一つだけ約束です。
 もし、秘密の場所を見つけても、四つ葉を採るのは一つまで。
 そうすれば、いつまでもこの場所は、あなたと私の秘密の場所。

<評> この作品を読み終えたあなたは、作者との約束を、しっかり守らなくてはなりません。四つ葉の園は、いつか、きっと見つかります。でも、摘んでいいのは一つだけ。では、散歩に出かけましょうか。

[紙芝居のヒーロー] 静岡県菊川市・無職・69歳  赤堀賢司 

 日本で初めてテレビ放送が始まったのは私が生まれた後で、当時はまだ紙芝居が数少ない娯楽の一つであった。
 カチーン、カチーンと拍子木の音が聞こえる。
 「あ、紙芝居が来たぞ」
 素早く駄賃を握り、いつもの場所へ弟と向かった。
 そこは、大きな松の木が立つ一角だった。
 紙芝居の始まりは、決まっておじさんの口上からで、水飴(あめ)を舐(な)めながら見物した。
 紙芝居作品のうち、私は、黄金の髑髏(どくろ)が黒マントを羽織ったヒーロー「黄金バット」が好きだった。
 おじさんの流暢(りゅうちょう)な語り口が皆を夢中にさせてくれたなあ。
 今は昔。
 絵を見せて演じて語る紙芝居のおじさんもヒーローだったのでは…。

<評> 昭和の子どもたちがこぞって胸を躍らせた街頭エンタメ、紙芝居。演者の話芸と観客の声援がいっしょになって育て上げた無敵のヒーローが、遊び場の片隅を、きらびやかな劇場に変えてくれました。

◆「絵本」のアイデアも募集

 300文字小説とわたしの絵本用のストーリーを募集しています。掲載された方には図書カード3000円相当をお贈りします。奮ってご応募ください。
【300文字小説】自作オリジナルに限ります。句読点や記号を含む300文字以内で、タイトルを明記。掲載に際し手を加えることがあります。応募作品は返却しません。採用の場合おおむね3カ月以内に掲載します。
【わたしの絵本】日常のふとした瞬間をとらえたエッセーや創作したストーリーを300字程度にまとめてください。このアイデアを参考に、イラストレーターが6コマほどのオリジナル絵物語を創ります。
 著作権は弊社に帰属します。
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