終戦直後の食糧不足をカメラが支えたという事実がある。GHQ…

2020年6月29日 07時05分
 終戦直後の食糧不足をカメラが支えたという事実がある。GHQから食糧支援を受けていたが、支援といってもただではない。支援を受けるため、日本政府は見返り物資をGHQに提供していた▼カメラも見返り物資だった。日本の小型で値段の安いカメラは米兵の人気が高かった。戦争中、各メーカーの技術者は光学兵器の開発に動員され、人材も技術力も残っていたため生産再開も早かったそうだ。『日本写真史』(鳥原学・中公新書)に詳しい▼かつての日本のひもじさを救ったカメラを思う。高千穂光学工業(現・オリンパス)もそういうメーカーのひとつである。そのオリンパス。デジタルカメラなどの映像事業を分社化し、投資ファンドに売却するそうだ▼終戦後から高度成長期。長きにわたって日本を支えてきたカメラへの「恩義」を思えば、時代とはいえ、カメラに見切りをつけたような売却が少々寂しい。最近はスマートフォンなどに押され、赤字が続いていたらしい。なるほど、ちょっとした写真なら、今はわざわざカメラを持ち出さずともスマホで撮ってしまうか▼<オリンパス・ペンはかわいいカメラ>。高度成長期のCM曲が懐かしいという人もいるだろう。扱いやすく誰にでも撮れるかわいいカメラ。カメラを大衆のものにした功績もある▼戦後日本を撮った懐かしい写真。また一枚、色あせていく。

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