恐怖心頼みでいいのか

2020年6月29日 07時10分
 新型コロナ対策で、欧米が強制力のある厳しい外出禁止措置を取ったのに対し、日本は罰則のない外出自粛要請にとどまった。にもかかわらず、市民は外出を控え、大規模な感染拡大を防ぐことができた。なぜだろうか。大きな理由の一つが「恐怖心」だと思う。
 亡くなったタレントの志村けんさん、女優の岡江久美子さんらがPCR検査を受けたのは、人工呼吸器を着けるまでに重症化した後だった。大相撲力士の勝武士(しょうぶし)は、高熱を出したが、受け入れ先の病院が数日間見つからなかったという。著名人でも後手に回った例が相次いで報じられ、「感染したら手当てを受けられずに死ぬのでは」と恐怖を抱き、自粛に努めた人も少なからずいたのではないか。
 今さらながらのアベノマスクの寄付が相次ぐことを、菅義偉官房長官は「次なる流行に反応できるよう、布マスクを国民が保有することに意義がある」とけん制した。第二波の際も不織布マスクが不足したまま放置するというのか。今、市中にマスクが出回るようにはなったが多くは中国製だ。国産マスクの量産態勢を整えておくべきなのは当然だろう。
 医療従事者の献身で支えられてきたが、PCR検査態勢の拡充、集中治療室(ICU)の増床など、課題は山積する。感染拡大が落ち着いている今のうちに政策を総動員し、対応を急いでほしい。これ以上、恐怖におののくのはまっぴらだ。 (熊倉逸男)

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