すみだ水族館の飼育スタッフが語るクラゲ愛 「未知の生態、そこが魅力」

2020年6月29日 11時36分

クラゲの魅力を語る飼育スタッフの中井咲恵さん=墨田区のすみだ水族館で

 7月16日にリニューアルオープンするすみだ水族館(墨田区)の飼育スタッフ中井咲恵さん(30)は、東京スカイツリーのふもとにある同館でクラゲ担当のリーダーを務める。繁殖に力を入れ、展示する400匹はすべて墨田生まれ。「どうして元気がなくなったのか分からないことも多いが、そんな未知の部分も魅力的」と、やりがいを語る。

◆まぶたの裏でクラゲが浮遊する

 ペンギン、チンアナゴとともにクラゲは来場者の人気トップ3に君臨する。都内最大規模の10種類がゆらゆらと漂い、繊細な器官やゼリーのような不思議な質感は、大人の知的好奇心も刺激する。
 飼育の難しさを感じる日々で特に気を使うのが水質だ。「クラゲは体の95%以上が水分なので水質の影響を受けやすい」。餌をやりすぎていないか、照明の加減はどうか。頭の中はクラゲのことでいっぱいなのだろう。一日の最後、ベッドで目を閉じてもなお、まぶたの裏で残像が浮遊する。

ゆらゆらと漂うクラゲをいとおしげに見つめる飼育スタッフの中井咲恵さん

◆海なし県で育まれた海へのあこがれ

 山梨県で育ち、海へのあこがれが海洋生物への興味を広げた。東京海洋大で「調べがいがある」と卒論の題材に選んだのがクラゲとの出会い。すみだ水族館がオープンした2012年に入社し、主に「クラゲ畑」を歩んできた。
 飼育や繁殖にとどまらず、最近は展示のリニューアルにも関わった。まもなく一般公開される新しい水槽は、国内最大級とも言われる特注品。企画段階から携わり、「どんな水槽にしたら魅力が伝わるか。円柱型に通路一体型とあれこれ案が出た」と振り返る。
 クラゲの展示は水槽の横から眺めるのが一般的。だが、浅くて広い楕円だえん形の水槽を置き、海でクラゲを目にするときのように水槽の上から眺める形を取り入れた。海月クラゲの漢字の由来となった「海中に浮かぶ月のような姿」を楽しんでほしいという思いからだった。
 投入するミズクラゲは流れに身を任せて漂うため、水の流れを人工的に作らなければならなかった。「弱すぎてもダメだし、強いと水槽にぶつかって軟らかい体を傷つけてしまう」。今回採用した特殊な形の水槽には業界に伝わる水流のノウハウが通用しない。クラゲの様子を見ながら試行錯誤が続く。

◆スカイツリーの「ついで客」に伝えたい

 リニューアルで飼育や繁殖の作業が公開されるようになり、飼育スタッフが来場者と関わる機会は増える。「立地的にスカイツリーのついでに立ち寄るお客さんも多い。積極的にコミュニケーションをとってクラゲの世界に引き込みたい」。新たな幕が上がるのを待ち切れないでいる。 (加藤健太)

関連キーワード

PR情報

東京の最新ニュース

記事一覧