不出馬なのに「ホリエモン」ポスターはなぜOK? 都知事選で選管に問い合わせ300件超

2020年6月29日 16時44分

候補者の選挙ポスターが張られた掲示板。立花さんの両隣には出馬していない堀江さんの写真が並ぶ=25日、東京都内で

 7月5日投開票の東京都知事選に出馬している政治団体「ホリエモン新党」の選挙ポスターについて「なぜ?」「どうして認められるの?」との声が相次いでいる。候補者本人ではなく、立候補していない実業家堀江貴文さんの写真が使われているからだ。都選挙管理委員会には「違反ではないのか」など苦情や問い合わせが300件以上寄せられているという。候補者と別人の写真を載せるのは、果たしてあり? (添田隆典、三輪喜人)
 ホリエモン新党からは、NHKから国民を守る党の党首で元参院議員の立花孝志さん(52)、堀江さんの秘書の斉藤健一郎さん(39)、音楽家の服部修さん(46)の3人が立候補。ホリエモンの愛称で知られる堀江さんが提案する政策の実現を掲げる。
 しかし、3人のポスターのうち、本人の顔と名前が写っているのは立花さんのみ。3枚は届け出順に横並びで張られているが、斉藤さんと服部さんのポスターに本人の名前、写真はなく、「ホリエモン新党公認」の文字と、堀江さんが大きく写っている。一見して2人のポスターだとは分からない。
 「なぜ出馬していない人のポスターが張られているのか」。18日の告示後1週間で、都選管事務局にはこうした苦情や問い合わせが300件以上に上るという。佐藤竜太選挙課長は「選挙ポスターは本来、候補者が誰かを分かりやすく伝えるもの。選管としても正直、困っている」と打ち明ける。

候補者の選挙ポスターが張られた掲示板=27日、東京都内で


 ただ「違法とまでは言えない」と話す。選挙ポスターについて公選法が記載を求めているのは掲示責任者と印刷者の名前と住所のみ。選挙妨害や利益誘導などの記載をしなければ、だれの写真や名前を載せるかは候補者の自由。斉藤さんと服部さんは同じポスターを使用しているが、それも違法ではないという。
 佐藤課長は「堀江さんの写真を無断で使用すれば肖像権の侵害になるだろうが、それは選管が立ち入る問題ではない」とも話す。
 これに対し、代表の立花さんは本紙の取材に「今回の都知事選は、次の衆院選などに向けてホリエモン新党の知名度アップが目的。そのために候補者よりも堀江さんの写真を優先した」と主張。「ポスターが3枚並んだ方が目立つため」、告示日には届け出順がくじ引きになる早い時間を避け、3人連続で届け出た。
 「堀江さん本人に事前に説明して、候補者2人も了解している」と立花さん。選管に多くの苦情が寄せられていることにも、「ルールにのっとってやっていること。誰にも迷惑を掛けていない」と意に介さない。
 ただ、各候補者は立候補にあたって300万円の供託金を支払っており、得票数が有効投票数の10分の1に満たないと没収される。ポスターに自分の顔と名前を載せなければ、その点で不利になる。

◆ポスターへの賛否も判断材料


 過去6000人分の選挙ポスターを分析してきた拓殖大学の浅野正彦教授(政治学) 「候補者本人が写っていないポスターはほとんど見たことがない。確かに有権者には分かりづらい内容だが、どのようにPRするかは候補者に委ねられている。有権者が『けしからん』と感じれば、それだけ票を失うわけで、ポスターへの賛否も含めて、1票を投じればいいのではないか」

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