悩める人の役に立つ! 「あったらいいな」を商品化

2020年6月30日 07時11分

商品の下着について話すジュバンドーニの黒川紗恵子さん=東京都千代田区で

 モノがあふれる社会なのに、自分にピッタリくる商品がない。そんな思いを抱くことはないだろうか。ここで紹介する二人の女性。自身の困り事を出発点に、心地よく暮らすための「あったらいい」モノを作り上げ、商品化に成功した。共通するのは「同じ悩みを抱える人の役に立ちたい」という思いだ。 (小林由比)
 「こんなにたくさんあるのに、なぜ欲しい下着がないのか」。下着ブランド「JUBAN DO ONI(ジュバンドーニ)」(東京都文京区)代表の黒川紗恵子さん(42)は二十代の頃からこう感じていた。
 売り場の下着の多くは、化学繊維の光沢素材で、リボンの飾り付き。ウエストや鼠径(そけい)部には細いゴムを使う。「スタイル良く、セクシーに見せるため、体を締め付けるものばかり」。天然素材で優しい着心地を求めると、「おばちゃんベージュ」のようなしゃれっ気のないパンツになる。
 「自分に合った下着が欲しい」との思いが再燃したのは約十年前。クラリネット奏者の仕事は不安定な面もあり、「違う仕事を持つのもいい」と考えた。買ったパンツをバラバラにして調べるところから始めた。
 当時通ったニットソーイング教室で、縦に筋が入ったリブ素材に触れ「これだ!」と直感。パタンナーと試作を繰り返し、幅の広いリブをウエスト部分などに使い、体を締め付けないデザインにたどり着いた。
 オーガニックコットンを使い、ピンクやパープルなど楽しい色づかいにもこだわった。少量生産でも細かな注文に応じてくれる縫製工場に出合えたことも大きかった。
 下着は男性用も。顧客は十代から八十代まで幅広い。妊婦や手術後の人などから喜びの声も届いた。黒川さんは「流行を追い、売れるものをというだけのものづくりでいいのか。感覚を大切にして作り続けたい」。

じっくり時間をかけた製法で無添加せっけんをつくる堺谷美知さん=横浜市金沢区で

 せっけん工房「エレナフローラ」(横浜市金沢区)の堺谷美知さん(55)が、無添加せっけんを作り始めたのは十八年ほど前。当時小学生の長女がアトピー性皮膚炎に苦しんでいた。肌のコンディションを整えたい一心で、自宅の台所で無添加せっけんを作るうち魅力にはまった。
 せっけんは、製造や販売について医薬品医療機器等法で定められている。五十歳の頃、一念発起し、製造販売の資格を取るため大阪の専門学校に入学。知らない土地で平日は仕事、土日は勉強のハードな毎日。でも「手作りせっけんの良さをきちんと伝えたい」一心で乗り越え、三年前に工房を開いた。
 じっくりと時間をかけるコールドプロセス製法で作る。植物油脂の良質な成分を損なわないよう四〇度程度でじっくり温め、約一カ月かけて熟成、乾燥させる。天然の精油など安全な材料だけを使う。保湿成分のグリセリンもたっぷり含まれ、皮膚に悩みを持つ人たちから好評だ。
 販路が広がった今も、工房での手作りを自らに課している。「安全で高品質なせっけんを作り、悩む人たちに小さな幸せを届けたい。それが、大手ではできない、私にできることだと思っています」

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