コロナ禍で懸命の策 「献血」「骨髄バンク」 

2020年6月30日 07時12分
 新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う自粛は、善意で成り立つ献血、骨髄バンクの両事業にも少なからず影響を与えた。患者の命を救うため、緊急事態宣言が解除されるまでの間、日本赤十字社(日赤)と日本骨髄バンクは、さまざまな策を講じて乗り切った。ただ、今後も予断は許されず、事業への理解と協力を求める取り組みが続いている。 (小中寿美)

◆献血 検査はシート越しに

 十九日午後、愛知県赤十字血液センター(瀬戸市)が運営する献血ルーム「ゲートタワー26」(名古屋市中村区)。検温に加え、事前の検査は透明シート越しに行うなど厳しい感染対策を取る=写真。「休校や外出自粛で学生や主婦の減少が目立ったが、宣言解除後は人数が戻ってきた」と担当者。週末の献血者数は感染拡大前と同程度に回復したという。
 必要な血液量を確保するには、全国で一日当たり約一万三千人の献血が求められる。日赤によると、コロナの影響が出始めたのは二月中旬だ。企業やイベントでの献血会中止が相次ぎ、献血ルームに来る人も減少。同月下旬には、確保できた量が計画の87・7%にとどまった。
 日赤や厚生労働省がマスコミを通じ「宣言下でも献血は必要」と訴え続けた結果、供給に支障はなかったが、コロナの収束は見えず先行きは不透明だ。安定供給に向け、県赤十字血液センターは同月から、献血バスを人の多いショッピングモールや街頭へ。五月以降は日曜にも献血会を開いている。ただ天候などの影響を受けやすく、企画係長の久保和也さん(37)は「確保量の変動が例年より大きい」と話す。
 献血の血液の多くは、がんなど病気の治療に役立てられる。血液は人工的に造れず、長期保存もできない。採血後の有効期間は赤血球製剤で二十一日、血小板製剤で四日だ。健康を守るため、一人が一年間に献血できる回数や量は限られる。協力者の一時的な集中や「三密」を避けるため、日赤は事前予約も呼び掛けている。

◆骨髄バンク 採取 施設で助け合う

 白血病など重い血液病患者に骨髄を提供するドナーの募集や連絡調整を担う骨髄バンクによると、ドナー候補者は採取までに計四回、医療機関に出向く=図。同バンクはドナーの安全を重視。最初に宣言が発令された四月七日、対象となった七都府県で健康状態の確認検査と最終同意面談を延期すると決めた。
 しかし、患者に十分な体力があるなど移植に適した時期は限られる。移植調整部によると、ドナーが七都府県でしか見つからず、同意面談が延期されたことで移植のめどが立たなくなった患者は、約二十人いた。そこで、同二十八日にはオンラインを活用して面談を再開。臍帯血(さいたいけつ)移植など別の治療の検討を促すなどの対応も。
 結果的に「影響は最小限に抑えられた」と担当者は言う。院内感染が起きて骨髄採取ができなくなった医療機関もあったが、他の施設が引き受けるなどして乗り切った。宣言解除後は通常の状態に戻ったが、広報渉外部長の小島勝さん(59)は「今回の経験を次に生かしたい」と気を張る。
 一方、課題はドナーの新規登録者数の急減だ。登録は主に献血会や献血ルームで行われるためで、毎月三千人前後で推移していたが、四月は八百七十三人、五月は七百八十二人にとどまった。競泳女子の池江璃花子選手(19)の白血病公表を受け、昨年一年間に登録した人は前年比171%の約六万人。「貯金」はあるが、五十五歳の誕生日で登録は取り消される。若者を中心に登録を訴える活動が続く。

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