「香港国家安全維持法」成立 中国政府の介入が可能に

2020年6月30日 14時00分

28日、中国全人代常務委員会のモニターに表示された「香港国家安全維持法」案=北京で(新華社・共同)


 【北京=中沢穣】香港メディアは30日、中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が「香港国家安全維持法」案を全会一致で可決・成立したと報じた。同法は、中国政府が香港の行政や司法に直接介入することを可能にする内容で、香港の高度な自治に基づく「一国二制度」の形骸化は必至だ。
 常務委での可決後、香港政府が7月1日までに施行するとみられる。日本など国際社会が批判を強めるとみられ、米国は対抗措置として制裁を強化する方針。香港政府トップの林鄭月娥行政長官は30日、「いかなる制裁も恐れない。中国政府の対抗措置と足並みを合わせる」と話した。
 一方、香港の民主活動家、黄之鋒氏や周庭氏らは同日、所属する民主派団体「香港衆志」からの脱退を表明した。同法による逮捕を憂慮したとみられる。同法の施行前から、香港の民主化運動や抗議活動への影響が広がっている。
 同法は、香港で続く反香港政府・反中国抗議活動の取り締まりを主な目的とし、昨年10月の中国共産党の重要会議で制定方針を決めた。制定方針が5月に明らかにされてから1カ月強のスピード審議で成立した。香港で施行される法律を中国政府が制定する形となり、香港立法会(議会)の立法権が著しく侵害された。
 法案の概要によると、国家分裂、政権転覆、テロ行為、外国勢力と結託して国家安全に危害を加えるといった4類型の犯罪を規定。また▽中国政府が出先機関「香港国家安全維持公署」を新設▽香港政府が新設する「国家安全維持委員会」に中国政府が顧問を派遣▽「特別な状況」では中国政府の組織が香港で法執行|なども盛り込まれ、中国政府が香港に介入する複数の道筋が明記された。
 香港返還記念日の7月1日に毎年行われていたデモは、今年は新型コロナウイルスへの対策を名目に許可されなかった。抗議活動を強行する動きもあり、警官隊と激しく衝突する恐れもある。

関連キーワード

PR情報

国際の最新ニュース

記事一覧