「3カ月無収入で生活ギリギリ」コロナ休業→失業へ「予備軍」じわり移行

2020年7月1日 05時50分

 総務省が30日発表した5月の労働力調査では、新型コロナウイルスの影響により、完全失業率(季節調整値)が前月から0・3ポイント上昇の2・9%と、3年ぶりの高い水準となった。歴史的な数に膨れ上がった休業者など「失業予備軍」の一部が、失業に移行し始めている。厚生労働省が同日発表した5月の有効求人倍率(同)も前月から0・12ポイント低下の1・20倍で、46年4カ月ぶりの下げ幅を記録。識者からは雇用悪化の広がりと長期化への懸念が出ている。

◆5月の完全失業者は198万人

 完全失業者数は198万人。前年同月比33万人増で、増加幅は10年4カ月ぶりの高水準。就業者数は同76万人減の6656万人と、2カ月連続で減った。緊急事態宣言で急増した休業者は、274万人増の423万人だった。
 横浜市の洋服販売会社に勤める会社員男性(61)は、4月中旬にコロナの影響で休業に入った。経営が悪化した会社側から退職の勧奨を受け、「辞めることはもう覚悟している」。ただ給与や休業手当の未払いがあり、地域の労働組合に加入して団体交渉を申し入れており、このままでは辞めるに辞められない。「3カ月も無収入で生活はギリギリ。中ぶらりんの状況が一番つらい」と漏らす。
 男性のように事実上の失業状態にある休業者も、統計上は就業者とみなされ、失業率には反映されていない。失職した後、感染拡大の状況を考えて求職活動をせずに待機すれば「非労働力人口」という枠に入り、これも失業者に入らない。実際に5月の非労働力人口は4221万人で、37万人増えている。

◆35万人が失業に移行

 こうした「失業予備軍」もじわりと失業に移行している。総務省の推計によると、4月から5月にかけて休業者のうち失業に移行したのは約10万人。非労働力人口から失業への移行は約25万人に上る。
 日銀元審議委員の木内登英氏は「今後も非労働力人口や休業者が失業に移行するなどし、失業率は来年前半に6%台に達する」と予想。「雇用の悪化はサービス業の非正規社員が中心だったのが、製造業の正社員に波及する兆しも出ており、長期化する」と見通した。(渥美龍太)

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