米、制裁も中国の翻意は難しく トランプ氏の本音は「香港より対中貿易合意」

2020年7月1日 05時50分
米ワシントンのホワイトハウスで手を振るトランプ大統領=26日(ロイター=共同)

米ワシントンのホワイトハウスで手を振るトランプ大統領=26日(ロイター=共同)

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 【ワシントン=金杉貴雄】トランプ米政権は、中国による「香港国家安全維持法」の成立に対し、香港に認めていた優遇措置を見直す制裁措置に踏み切った。だが、肝心のトランプ大統領は秋の大統領選をにらみ、香港の高度な自治や人権よりも中国との貿易協定を維持したいのが本音とされ、香港の「一国二制度」を維持させる決め手にはならないとみられる。

 ◆中国企業に打撃

 ポンペオ国務長官は29日、「一国二制度」を前提に香港に認めていた軍民両用技術に関する輸出を、中国本土同様に制限すると発表。軍事転用も可能な半導体などを香港経由で輸入する中国企業も多いとみられ、打撃にはなりそうだ。
 米政権は既に、香港の自治を抑圧した中国共産党当局者らへのビザ発給の制限も発表した。米上院は25日、中国の高官や組織、金融機関に制裁を科すための香港自治法案を全会一致で可決した。
 ただ、トランプ氏の関心は1月に署名した中国との貿易合意の維持だ。中国が農産品や工業製品などの輸入を2年で2000億ドル(約22兆円)増やすとの内容で、中西部など大統領選激戦州の農家や工場労働者に向けたアピールになるからだ。

 ◆暴露されたトランプ氏の姿勢

 「香港より対中貿易合意」の姿勢はボルトン前大統領補佐官の回顧録でも暴露された。トランプ氏は昨年の香港の大規模抗議デモについて「巻き込まれたくない」とし、同6月には習近平国家主席に大統領選再選支援を要請したとされる。
 米シンクタンク「フリーダム・ハウス」のサラ・クック上級研究分析官は今回の安全維持法導入に関し「中国は経済的打撃をいとわないと覚悟している」と分析し、米政府の優遇措置見直しで中国を翻意させるのは難しいと見ている。
 中国外務省の報道官は30日、米国の措置に対し「誤った行いには必要な対抗措置を取る」と反発した。

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