進むネット選挙 集票効果は? 都知事選で演説ライブ配信も

2020年7月1日 13時59分
ビデオ会議アプリを使って都政の課題などについて語り合う都知事選候補者(右奥、一部画像処理)=東京都新宿区で(沢田将人撮影)

ビデオ会議アプリを使って都政の課題などについて語り合う都知事選候補者(右奥、一部画像処理)=東京都新宿区で(沢田将人撮影)

  • ビデオ会議アプリを使って都政の課題などについて語り合う都知事選候補者(右奥、一部画像処理)=東京都新宿区で(沢田将人撮影)
 7月5日投開票の都知事選に向け、各陣営は新型コロナウイルス対策を念頭に、インターネットを使った選挙運動に知恵を絞る。2013年のネット選挙解禁以降、街頭演説の動画配信や、ツイッターやインスタグラムなどの会員制交流サイト(SNS)を通じた質問の受け付けなど、手法は広がってきた。ただ得票の上積みにつながるか、疑問視する声もある。(松尾博史、岡本太、福岡範行、梅野光春)
 6月28日、新宿駅前で演説した候補者の隣に、「政治アイドル」を名乗って社会問題について発信している女性や小説家、翻訳家など、ネット上で話題の女性らが並んだ。陣営幹部は「新型コロナ対策で、聴衆の動員ではなく、登壇する人選に力を入れた」と、ネットでの口コミの広がりに期待を込める。
 ネット上の選挙運動解禁から7年が経過。街頭でスピーカー越しに支持を訴えられる時間は午前8時~午後8時に限られるが、ネット動画ならば深夜、仕事を終えて帰宅した人たちにも声を届けられる。しかも必要経費は少ない。
 ネットに親しむ若年層の支持を得ようとの期待が根強い一方、この陣営の幹部は「SNSを始める中高年も増えており、ネット発信の比重はどんどん高まっている」と指摘する。耳の不自由な人に配慮し、街頭演説の中継にリアルタイムで字幕を付ける陣営もあるなど、質の向上も見られる。
 今回は「3密」を避ける新型コロナ対策も、ネット選挙を加速させる。4年前の都知事選に続き出馬した候補者は「本当は街頭で直接握手したい」とこぼしつつ、ネットで受け付けた政策への疑問に答えている。

◆「ネットはおまけ」「演説で熱気感じたい」

 一方で「オンラインの選挙活動の効果は誰にも測定できない。ネットはおまけ」と位置付ける候補者もいる。同様の声は有権者側からも聞かれる。JR新橋駅前で都知事選候補者の演説を聞いた東京都江東区の自営業松井弥加みかさん(48)は「候補者や周辺の熱気が感じられて、動画よりいい。1票を入れるなら、実際に見た人でないと」と話す。
 ネット選挙に詳しい東京工業大の西田亮介准教授(情報社会論)は「新型コロナ対策で、選挙でもネット利用の切実さは高まった。ただ有権者側が検索しないと、候補者の情報になかなかたどり着けない」と指摘。「都知事選のように地域限定の選挙だと、駅前の演説の方が知名度アップに有効ではないか。この数年で、ネット選挙の長所と短所が明らかになりつつある」と分析する。

◆イラストで候補者見比べ 若者の投票呼びかける団体


 各陣営のネット発信について、三十歳以下の投票や政治参加を促す若者グループ「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條のうじょう桃子さん(22)は「候補者の訴えが届きやすくなったという実感は、あまりない」と明かす。
 選挙でのSNSの活用では、興味を持って調べても、編集なしの街頭演説の動画が多く、見づらいと能條さんは、感じている。「演説の中継も大事だが、時間がない人向けのものも何度も発信して」と望む。
 グループでは、都知事選の候補者比較のイラストを作成。主な候補者の似顔絵に東京五輪開催に対する考え方を示す図などを添え、SNSで発信した。能條さんは「地方選挙は私たちの生活を決める重要なもの。若い世代にも、もっと投票してほしい」と語った。

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