出先機関に治外法権と強い権限与える香港国家安全法 「これ1つで香港を安定させられる」

2020年7月2日 06時00分
1日、香港で、国家安全法の施行翌日、デモ参加者を取り締まるために出動した警官隊=ロイター・共同

1日、香港で、国家安全法の施行翌日、デモ参加者を取り締まるために出動した警官隊=ロイター・共同

  • 1日、香港で、国家安全法の施行翌日、デモ参加者を取り締まるために出動した警官隊=ロイター・共同
  • 1日、香港で国家安全法に抗議しデモ行進する大勢の人たち=AP・共同
 【北京=中沢穣】香港国家安全維持法が6月30日深夜に施行され、ほぼ同じ時間に条文がようやく公表された。同法では、中国政府が香港に新設する出先機関「国家安全維持公署」に、香港政府の自治権を超える強い権限と治外法権と同様の地位を与えるなど、中国が香港を直接支配するための様々な手段が盛り込まれた。
 「香港の繁栄と安定のための守護神となる」。1日の記者会見で同法の意義を説明した国務院香港マカオ事務弁公室の張暁明副主任は「この法律ひとつで香港を安定させられる」と断言し、昨年から続く抗議活動を抑え込む強力な手段になるとの考えを示した。
 中国による香港支配の足場となるのが、新設される出先機関「国家安全維持公署」だ。「香港政府の管轄を受けず、(警察官など)同政府による検査、捜査、差し押さえなどを受けない」と定めた。一方で香港政府が新設する「国家安全維持委員会」は同公署の監督や指導を受けるほか、中国政府の顧問も受け入れる。張氏は会見で「(同公署の)権力は香港政府の自治権の範囲を超えている」と明言しており、香港の自治が消滅することになる。
 また、同公署が香港で法執行できる「特定の状況」について(1)外国勢力が介入して事態が複雑化(2)香港政府が法執行不能に陥る(3)国家安全が重大な脅威に直面といったケースを規定した。同法の解釈権は中国側にあるため、あいまいな表現によって恣意的に運用される恐れがある。
 さらに同公署による法執行は中国本土の刑法に基づき、中国の最高人民法院が指定した裁判所が審理するとも定めた。香港の司法の独立も侵食を免れない。
 同法は国家安全への「脅威」を阻止するための予防措置も盛り込み、香港に本土なみの統制が敷かれることになる。学校、社会団体、メディア、ネットなどに香港政府が指導や監督を強化することや、同公署などが香港に駐在する国際組織や非政府組織(NGO)、報道機関への管理を強めるとされた。
 このほか国家分裂や政権転覆などの犯罪は、実行に移さなくても、関係した「組織」や「計画」も摘発の対象となり、香港独立を訴える団体などは存続不可能になる。量刑は懲役3年から無期懲役。施行より以前にさかのぼって同法が適用されることはないとしている。

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