ヘイト条例 全面施行で市民団体「喜び、感謝し、祝福」 ネット書き込み対策に期待

2020年7月2日 07時53分

ヘイト条例全面施行を迎え、記者会見する(右から)「ヘイトスピーチを許さない」かわさき市民ネットワークの関田寛雄代表、裵重度さん、崔江以子さん=市役所で

 川崎市が一日に全面施行した、ヘイトスピーチ(憎悪表現)に罰金刑を科す全国初の条例「差別のない人権尊重のまちづくり条例」。ヘイト対策を求めてきた市民団体が歓迎の声を上げた一方で、条例の効果を懐疑的にみる人もいる。 (大平樹)
 ヘイト対策条例を求めてきた市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」のメンバーたちは市役所で会見した。代表の関田寛雄さんは、一九七〇年代の日立就職差別裁判に始まる市内の在日コリアンに対する差別解消の歴史に触れ「喜び、感謝し、祝福している」と条例の全面施行を歓迎した。
 一方で、関田さんは朝鮮学校が国の授業料無償化の対象外とされていることを「民族的差別」と指摘し、改正を求めていく考えを示した。また、インターネット上のヘイト書き込みへの対応を今後の課題に挙げ「発信者を特定し、差別を根絶する技術を開発してほしい」と望んだ。
 市内在住の在日コリアン三世崔江以子(チェカンイジャ)さん(47)は、条例に基づいて市が二日に初会合を開く「差別防止対策等審査会」に、自身へのネット上のヘイト書き込みデータ約三百件を提出したことを明らかにした。「ネット上の人権被害に遭っている人たちに、守られているんだという希望を届けたい」と語り、審査会での議論と市の具体的な対策に期待を込めた。
 ネットワーク事務局の山田貴夫さん(71)は、新型コロナウイルスの感染拡大により、横浜中華街で中国人へのヘイトスピーチが起きたことから「条例が他都市にも広がってほしい」と話した。ネットワークは黒岩祐治知事に条例制定を要請する準備を進めているという。

◆外国籍職員の業務制限「差別を固定化」 就職差別裁判闘った朴さん

 「内なる差別を放っておいてはヘイトスピーチもなくならない」。一九七〇年代の日立就職差別裁判で勝訴した在日コリアン二世の朴鐘碩(パクチョンソク)さん(68)=横浜市戸塚区=の見方は厳しい。川崎市に人種差別全般を禁止する条例制定を求めているが、今回の条例では不十分とみる。
 朴さんは、外国籍の職員が就ける業務を制限している市の対応は差別だと指摘し、改正を求めている。
 市は一九九六年、全国に先駆けて、採用する職員の国籍条項を撤廃したが、任用面では特殊な扱いを続けている。
 課長級以上の主要ポストには就けないほか、市税徴収や生活保護認定などの業務には携わることができない。市採用の教員は教頭や校長といった管理職に昇進できない。
 内閣法制局が五三年に示した国家公務員の任用に関する見解を下敷きにした「川崎方式」として大規模自治体に影響を及ぼした経緯もある。
 在日コリアンであることを理由にした内定取り消しは差別だとした日立就職差別裁判の判決から四十六年。朴さんは「川崎市の職員任用方法は差別を固定化させている。まず市が外国人差別をやめるべきだ」と訴えた。

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