ロシアが改憲 「プーチン後」が見えぬ

2020年7月3日 07時43分
 事実上の終身大統領制の導入と言えるだろう。ロシアで全国投票が行われ、二〇二四年の任期切れ後もプーチン大統領の続投に道を開く憲法改正が実現した。これでは長期政権の弊害が募るだけだ。
 十月に六十八歳となるプーチン氏は、ロシア人男性の平均寿命にほぼ達している。改憲によって、任期満了後からさらに三六年まで二期十二年の続投が視野に入ってきた。そうなればプーチン氏は八十三歳まで君臨することになる。
 もちろん再選を重ねればの話だが、プーチン氏は四年後の五選出馬の可能性は排除しないと含みを持たせている。
 改憲では大統領の諮問機関「国家評議会」の権限が強化された。プーチン氏が大統領から国家評議会議長に移って「院政」を敷く可能性も指摘されている。いずれにせよプーチン支配は続くという見方が一般的だ。
 プーチン氏が四十七歳で大統領に就任したのは二十年前。ソ連崩壊後の混乱を鎮めて国に安定をもたらした。国際社会で大国としての復権も果たした。
 全国投票はプーチン氏への信任投票の意味合いもあった。投票結果は引き続き安定を望む民意の表れだ。
 一方で、最近の支持率下降が示すようにプーチン氏への飽きと不満が広がっているのも事実だ。
 実際、長期支配のよどみが目につく。医療現場が崩壊状態になったコロナ禍では、硬直した権威主義的体制のもろさを露呈した。経済は低迷し国民の実質所得はほとんど伸びない。異論を封じられた社会は閉塞(へいそく)感を深める。
 政権がこの現状を打破できるようには見えない。そればかりか、体制維持こそが自己目的化しないか危惧する。
 目標の大国復活は達成した。では、その次はどのような国の将来像を描くのか。プーチン氏には自分の時代が終わった先の展望を示してもらいたい。
 改憲にはほかにも問題となりそうな特異点がある。
 結婚を「男女間の結び付き」と位置付け、同性婚を認めていない。
 憲法と矛盾する国際条約は無効として国際法より国内法を優先している。いずれも世界の潮流から外れた内容である。
 一九九三年に制定された憲法に二百項目余の修正が加えられた。それを一本の法案にまとめ、全国投票は逐条ではなく一括して賛否を問うた。粗っぽいやり方だった。

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