コロナに負けない!町工場の生き残り策 新商品・新技術の開発探る 東京・大田区<都知事選・現場から>

2020年7月3日 13時49分

従業員と話しながら作業の確認をするインターナショナルダイヤモンドの江口国康社長(中)=東京都大田区で

 新型コロナウイルスの世界的な大流行は、ものづくりを支える東京都大田区の「町工場」にも大きな影響を与えている。中国からの部品が一時途絶え、感染対策から大手メーカーの工場が操業停止したため、中小企業の受注が急減し、操業の一部停止に追い込まれている。(市川千晴)
 東急多摩川線の武蔵新田駅から北西に約300メートル。自動車、電子部品、航空宇宙などあらゆる産業の「切る・削る・磨く」工程で不可欠とされるダイヤモンド工具を製造する「インターナショナルダイヤモンド」(同区矢口)では、1階の加工場で鳴り響くはずの金属音が聞こえない。週1回の休止日だった。
 「昨秋の米中貿易摩擦の影響から抜け出たと思ったら、コロナが襲ってきた」と江口国康社長(52)。5月の売り上げは昨年の約3割減だ。「緊急事態宣言が出されたがメーカーは操業しなければ生産は止まる。社員約40人の感染対策と雇用の確保の両立は難しく、どのような形で操業できるのか悩んだ」と明かす。5月からは社員を3分割し、交代で出勤してもらう間引き操業を続ける。
 国や自治体は雇用調整助成金や融資あっせんなど多様な支援を打ち出した。都は利子を全額負担する独自の融資制度を3月6日から開始。4月末までに約2万1000件、6700億円の融資をした。大田区の融資制度へは六月末までに約2900件の申請。城南信用金庫(品川区)では、3~6月の融資額が7900件、1800億円の見込みで前年同期の5倍に上った。
 ただ、同信金の担当者は「当初はサービス業の相談が多かったが、製造業、卸・小売業にも波及している」と資金繰りの深刻さを心配する。江口社長も金融機関から約1億円の融資を受け、雇用調整助成金などを申請。「手厚い支援で、自宅待機の社員にも給料は満額渡せるが、長期化すれば国などの支援もどこまで続くか」と気をもむ。
 周辺の製造業者では、廃業や倒産の話も出始めた。最も懸念するのは海外への技術流出。江口社長は「バブル崩壊時に多くの工場が倒産したが、技術のある職人たちに手を差し伸べたのは政府や自治体ではなく、中国や韓国企業だった。日本人の職人らの技術指導がなかったら今のサムスン、ファーウェイなどの台頭はなかっただろう」と嘆く。
 そんな中、地元企業との取引を拡大する大手も現れた。大田区に本社のある機械メーカー「日東工器」は、城南信金が橋渡しする形で中小企業との商談会を開催。同区の2企業が金属加工や表面処理で試作品や製品作りを受注した。「地元に助けられ成長した。技術力のある会社を助けるため、自社技術の提供は惜しまない」と同社の小形明誠社長は呼び掛ける。
 江口社長も「仕事が少ない今こそ、長期化を見据え新商品や技術開発に時間を割く必要がある」。生き残りをかけた企業の模索が続く。

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