312万高齢者、論戦置き去り コロナでかすむ独居対策<都知事選・現場から>

2020年7月4日 06時00分
候補者の演説を聴く高齢者。ただ高齢者政策は訴えの中心にはない=1日、東京都町田市で

候補者の演説を聴く高齢者。ただ高齢者政策は訴えの中心にはない=1日、東京都町田市で

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 東京都の高齢者人口は312万人に達した。特に割合が多いのは一人暮らしで、買い物難民や孤独死を出さないためのコミュニティーづくりなど「高齢都市・東京」の課題は山積している。ただ、知事選候補者の論戦は新型コロナウイルス対策に注目が集まり、高齢者問題はかすんでいる。(浅野有紀、福岡範行、小倉貞俊)
 「子育てとか医療介護とか、(コロナ以外の)都民の生活の政策も大事。候補者から、もう少し聞きたい」。JR上野駅前で6月下旬、候補者の街頭演説に足を止めた足立区の無職高橋繁一さん(68)は、もどかしく感じていた。
 日本社会全体の高齢化が進む中、都の高齢者人口(今年1月時点)は茨城県や広島県の人口規模を上回り、今後も増え続ける。政府は「人生100年時代」を掲げ、シニア世代の就労を促してきたが、コロナでは重症化するリスクが高く、高橋さんも今は新型コロナの感染状況が一番、気になる。
 とはいえ、高橋さんの70代後半の知人は、年金暮らしで節約のために普段から通院を控えている。「都で何かできることはあるんじゃないかと思うんです」と、困窮する高齢者らへの福祉政策の充実を願う。
 主要な候補者は政策集などで「介護人材不足の解消」(れいわ新選組代表山本太郎さん)、「健康・長寿で『シニア活躍』」(現職小池百合子さん)「待機高齢者をなくす」(元日弁連会長宇都宮健児さん)、「在宅医療・介護が受けられる持続可能な地域包括ケア体制の構築」(元熊本県副知事小野泰輔さん)、「健康長寿世界一をガンガン延ばせ」(NHKから国民を守る党党首立花孝志さん)と、それぞれキャッチフレーズを掲げている。
 ただ、街頭演説で語られることは少なく、これまでのオンライン討論会では、ほとんど議題にすら上がっていない。
 高齢者の一人暮らしも増え続ける。国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年の都内高齢者のうち単身高齢者は79万世帯。これが40年には116万世帯に増え、高齢世帯に占める単身者の割合は、全国トップの45・8%に達すると推計される。都議会でも「相談支援につながりにくい人への地域での見守りが、これまで以上に重要」といった議論が交わされてきた。
 板橋区の高島平団地。高齢化が進み単身高齢者も増えている。しかし、ある候補者の街頭演説はコロナ対策に時間が割かれ、高齢化施策が語られたのは最後の数分だった。
 近くに住む主婦(70)は、ため息をついた。「今後は都内もどんどん高齢者が増えるから、もっと先を見据えた議論をしてほしい」

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