北朝鮮、病院建設に「最低100ドル」上納指示 海外駐在者に

2020年7月5日 06時00分

3月17日、平壌総合病院の着工式に臨む北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(中央)=北朝鮮の宣伝サイト「わが民族同士」から


 北朝鮮が今年の最重要事業と位置付ける「平壌ピョンヤン総合病院」建設のため、海外駐在者に対して、1人当たり100ドル以上を上納するよう指示を出した、と中朝関係筋が明らかにした。国際社会による制裁で経済困窮が深まる中、資金不足を補う目的とみられるが、ただでさえ外貨稼ぎが難しい状況での上納には、在外の関係者から不満が漏れる。 (編集委員・城内康伸)
 中朝関係筋によると、上納の指示は今年3月、関係各方面に出された。金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長の決定とみられる。上納金は「忠誠資金」と呼ばれ、集めた資金は、平壌総合病院の建設に充てられるという。
 同病院は平壌中心部が予定地で、3月17日に着工した。朝鮮中央通信によると、着工式には正恩氏が出席。「敵対勢力の制裁と封鎖の粉砕」を訴え、10月10日の党創建75周年記念日までに「世界がうらやむほど立派に」完成させるよう指示した。
 正恩氏は同病院の建設について、自立経済で制裁に対抗する「正面突破戦」で最優先の事業と強調。今月2日に開かれた党政治局拡大会議では、世界水準の施設とするために「国家的に強力な措置」をとるよう発破を掛けた。党創建記念日に最高指導者としての指導力を内外にアピールする考えだ。
 関係筋によると、中国の医療専門家約50人が4月に訪朝しており、病院建設や運営の支援に向けた中国側の動きと指摘される。
 北朝鮮の国家事業を巡る拠出指示としては、北部両江道三池淵リャンガンドサムジヨンの整備事業のため、正恩氏が外貨を稼ぐ全ての団体・企業に対し、年間の外貨収入の1%を拠出するよう指示していたことが、本紙の入手した内部資料で判明している。
 制裁の長期化に加え、北朝鮮は新型コロナウイルス対策として国境封鎖を続けており、貿易額は大幅に落ち込んでいる。北朝鮮の貿易関係者は今回の上納指示について「血の涙さえ出ない」と苦境を訴えた。

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