児童のフェースシールド着用は必要? 熱中症リスク懸念、不要論相次ぐ

2020年7月5日 10時31分
 学校で新型コロナウイルスの感染を防ぐため、複数の自治体が児童・生徒にフェースシールドを導入したことに対し、疑問の声が出ている。「飛沫感染防止を徹底する」というのが導入の理由だが、医療界からは「過剰な対応。必要ない」との指摘が上がる。夏を迎え、熱中症リスクにも配慮する必要がありそうだ。

大阪市内の小学校でフェースシールドを着けて授業を受ける児童=6月

◆「暑い」


 6月中旬、大阪市の市立柏里小。6年生が英語の授業でマスクとシールドを着け、英語の歌を口ずさみながら体を動かしていた。真剣な表情で取り組んでいたが「暑い」という声も漏れた。
 同校では、合唱や英語で発声する際などにシールドを使う。児童に先行して着け始めた教員から「長時間だと熱がこもって視界がゆがむ」との意見があったため、45分間の授業で着用時間が15分程度に収まるようにしているという。
 教室では冷房を使うが同時に換気するため、室温は思うように下がらない。津曲純校長は「感染予防の面では安心だが、熱中症の心配もある。使う場面をさらに限定することも考える」と話す。
 大阪市では5月に松井一郎市長が「学校の感染リスクを抑える」として、児童・生徒と教員の全員にシールドを着用させる方針を突然表明。愛知県や滋賀県の1部の小中学校も導入している。

◆本来は医療用


 一方、大阪府教育委員会は「専門家の意見を踏まえた」として教員にも着用させておらず、神戸市や京都市教委も導入は検討していない。学校再開に向けた文部科学省のマニュアルは「基本的には常時マスクの着用が望ましい」とし、シールドに関する言及はない。
 福岡県粕屋町は授業を再開した5月25日に「念には念を」と町立小中学校の児童らにマスクとシールドの併用を求めたが、気温の上昇を受け6月1日から片方のみの着用も認めた。併用には保護者から「安心できる」「やり過ぎだ」などと賛否両論があったという。
 シールドは通常、患者からのくしゃみやせきのしぶきが目に入るのを防ぐため、医療現場で使われる。一般社団法人「大阪小児科医会」は6月、「児童・生徒にフェースシールドの着用は必要ない」との見解を発表。大阪府医師会も「学校では全員がマスクをしていれば、高い確率で感染予防できる。シールドは頭部の締め付けによる集中力低下や児童の不安を招き、熱中症のリスクも高まる」と、デメリットの方が大きいと指摘する。
 一方、神戸大の岩田健太郎教授(感染症学)は「国の指示に従うだけでなく、各地で考えた方法が出てくるのは悪くない。間違っていたら直せばよく、思考停止にならず試行錯誤する姿勢も大事だ」と話している。(共同)

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