「どうか無事でいて」 降り続く雨の中、懸命の捜索 熊本豪雨

2020年7月6日 06時00分
 豪雨に見舞われ、土砂崩れや川の氾濫による激しい爪痕が残る熊本県南部では五日も断続的に雨が続いた。二次災害の危険もある中、行方不明者を捜索する懸命の作業に、「どうか無事でいて」と祈るように見守る近隣の住民。浸水被害に遭った住宅では片付けに追われる人の姿があった。

行方不明者の捜索が続く土砂崩れ現場=5日午後0時8分、熊本県津奈木町で

 土砂崩れで住宅が押しつぶされた津奈木町。巻き込まれた丸橋勇さん(85)が死亡し、妻と長男の行方も分からない。現場には木を裁断するチェーンソーのけたたましい音が響き、ショベルカーが土砂を掘り起こした。あったはずの建物は跡形も無くなっていた。
 一家を知る近所の村上昭子さん(68)によると、長男は集落の若者のまとめ役で「頼りにされる存在」。傘を差して現場を見続けながら「どこにいるのか。早く見つかってほしい」と漏らした。
 川が氾濫し、多くの家が床上浸水した芦北町では、住民らが雲行きに不安を感じながら、片付けを進めていた。浜口尚子さん(63)は「一日たって泥の臭いが、だんだんしてきた。早く片付けてしまわないと」と顔をしかめる。2016年の熊本地震で被災した益城町に住む親族が駆け付けてくれたといい「心強い」とも述べた。
 浸水被害は人吉市の球磨病院でも。一階はフロア一面が茶色い泥水に覆われていた。勤務医の池田登志江さん(44)は、泥水をかき出しながら「薬局があったが、薬は全部沈んでしまった」とうんざりした様子。入院患者の食料は備蓄でしのいでいるといい、「できることは限られているが、何とか踏ん張るしかない」と自らを奮い立たせるように話していた。
 芦北町の町民総合センターには家を失ったり、片付けを終えたりした住民ら数十人が身を寄せていた。新型コロナウイルス感染防止のため、入り口では検温とアルコール消毒が行われ、それぞれ二メートルほどの間隔を取って休んでいたが、疲労の色も浮かぶ。
 裏山が数十メートルにわたって崩れたという杉村弘義さん(78)は間一髪で自宅の被害を免れたが、「また崩れるのではないか。今晩も寝れるかどうか分からない」と不安を隠せないでいた。
 球磨村では指定避難所に被害が出て使用できず、屋根のある高台の屋外施設に集まった。
(共同)

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