都知事とは 国に先んじ「時代」と向き合う 作家、タレント…多彩な顔ぶれ

2020年7月6日 07時02分

五輪会場の国立競技場。開催の可否は…=新宿区で

 5日に投開票された東京都知事選で、現職の小池百合子氏(67)が再選された。都知事は一自治体の長であると同時に、国に先んじてその時代の課題に向き合うことを求められ、全国の注目を集める存在でもある。
 現在の二十三区にあたる東京市の市長には、「憲政の神様」といわれた尾崎行雄や、関東大震災後の街づくりに尽力した後藤新平らがいる。
 戦後に公選となった歴代の都知事も、官僚、学者、国会議員、タレント、作家ら多彩な経歴の持ち主が並ぶ。初代都知事は、厚生次官などを務めた安井誠一郎氏。焼け野原となり、食糧不足や住宅難にあえぐ首都の復興に尽力。高度成長期に就任した医学博士の東龍太郎氏は都市基盤の整備を進め、一九六四年の東京五輪の開催を実現した。
 経済学者の美濃部亮吉氏は「東京に青空を」をキャッチフレーズに公害対策を重視。革新都政を掲げて福祉行政にも力を入れ、国に先駆けて高齢者の医療費助成制度を創設した。ただ財政は悪化した。
 官房副長官や東知事の下で副知事を務めた鈴木俊一氏は、都財政の立て直しに尽力。丸の内から新宿に都庁を移転し、都営地下鉄大江戸線の整備や臨海部の開発にも力を入れた。「スーダラ節」を作詞し、ドラマで「意地悪ばあさん」を演じた元祖マルチタレントで参院議員も務めた青島幸男氏は、公約に掲げた「世界都市博覧会」の中止を決めた。
 芥川賞作家で衆参両議員を務めた石原慎太郎氏は、都独自のディーゼル車の排ガス規制を実施。大手金融機関を対象とした外形標準課税(銀行税)を導入し、税制のあり方に一石を投じた。四期目の途中で国政復帰を理由に辞職した。
 石原氏の下で副知事を務め、後継指名を受けた作家の猪瀬直樹氏は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの招致を実現したが、医療法人グループからの五千万円の借り入れ問題が発覚し、一年で辞職した。
 「都市外交」に力を入れた国際政治学者で、元厚生労働相の舛添要一氏も、政治資金の私的流用などの公私混同が批判され、二年四カ月で辞職した。
 再選した小池百合子氏は女性初の都知事。任期満了に伴う都知事選は、石原氏の三期目終了時の二〇一一年以来だった。
文・松尾博史/写真・市川和宏

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