遅れるコロナ家賃給付金、支給は8月以降か 「店がもたない」募る不安 

2020年7月7日 05時50分
 
 国が6月中を目指していた「家賃支援給付金」の申請受け付けが始まっていない。家賃給付金は今年5月以降の売上高が激減した個人事業主らに、国が家賃の一部を補助する制度。申請には、売上高が減ったことや家賃の支払いを証明する複数の書類が必要で、制度設計に時間がかかっている。新型コロナウイルス対策でありながら「今年1~4月の売上高減は支援の対象外」という制度の問題点も指摘されており、事業主らの不安と不満が高まっている。(池井戸聡)

 ◆複雑な制度、受付開始日は未定

 経済産業省は5月から、今年1月以降の売上高が激減した中小企業などに最大200万円の「持続化給付金」の支給を開始。だがこれに比べて「家賃給付金は3~4倍で収まらないぐらい複雑だ」と担当者は話す。
 「ガソリンが売れる量に応じ家賃が変わるガソリンスタンドもある」と担当者。経産省は3日、制度の概要を発表したが、申請の受付開始日や具体的な方法までは公表できなかった。
 今年5月以降のいずれかの月の売上高が前年同月比で50%以上減った個人事業主らに支給する家賃給付金。早くて7月半ばに申請の受け付けが始まる見通しだが、審査にも時間がかかるため、支給は8月にずれ込むことが濃厚だ。

 ◆固定費の重いスナック悲鳴

 家賃給付金には「連続する3カ月の売上高が30%以上の減少」という支給条件もある。ただ「5~7月の30%減」を確認後、8月に申請しても支給は9月になる可能性が高い。
 神奈川県横須賀市で居酒屋とスナックを経営する個人事業主の女性(66)は「家賃、人件費、カラオケリース代の固定費負担が重いスナックは存続が困難」と閉店を決意。何とか居酒屋の営業は続けるが「9月までもたない店は多いと思う。国の動きは遅い」と不満を漏らした。

 ◆なぜ支援対象が「5月以降」

 家賃給付金は、自粛の動きが一気に広がった3月や、全国に緊急事態宣言が出た4月の売上高減は対象外だ。商業施設のイベント会場設営を担う個人事業主の岡山市の女性(38)は「3月後半~4月が最も苦しかったのに…」と話す。なぜ「5月」なのか。経産省の担当者は持続化給付金の存在を理由に挙げた。
 持続化給付金は5月から給付が始まっており、「持続化」と「家賃」の両給付金には、「時期的な役割分担がある」(担当者)というのが経産省の見解だ。
 だが持続化給付金は一時、給付遅れが続出した。国は今年1~3月に開業した事業主やフリーランスらも新たに支給対象に加えたが、申請の受け付けは先月末に始まったばかり。「役割分担」が機能せず、両方の給付金がなかなか手元に届かない事業主の経営が悪化する懸念もある。

家賃支援給付金 今年5月以降の売上高が激減した中小企業や個人事業主らに6カ月分の家賃の一部を支給する制度。全額支給ではなく、支給の上限は法人が月100万円(支給は6カ月分一括で600万円)、個人が月50万円(同300万円)。補助率は法人が家賃月75万円までが3分の2、75万円超が3分の1。個人は月37・5万円までが3分の2、37・5万円超が3分の1。

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