韓国、国家情報院長に朴智元氏を内定 北朝鮮に違法送金の過去

2020年7月7日 06時00分
韓国の国家情報院長に起用される朴智元氏=共同

韓国の国家情報院長に起用される朴智元氏=共同

 【ソウル=相坂穣】北朝鮮の強硬姿勢を受け、外交安保担当の参謀陣を刷新した韓国で6日、司令塔役の国家安保室長に徐薫(ソ・フン)前国家情報院長が就任した。徐氏の後任には元国会議員の朴智元(パク・チウォン)氏(78)が内定しており、文在寅(ムン・ジェイン)政権は朴氏を南北対話の切り札にする狙いだ。ただ、過去に北朝鮮に対する違法送金に関わったとされるだけに、保守層には警戒感も漂う。
 朴氏は故金大中(キム・デジュン)大統領の最側近で、2000年に初の南北首脳会談を実現した際、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の父の金正日(キム・ジョンイル)総書記に4億5000万ドル(約480億円)を送金した中心人物とされる。保守系大手紙の朝鮮日報は社説で「送金によって、金正日は苦難の行軍(食料難)を克服して核開発に拍車をかけ、6年後に初の核実験に成功した」と皮肉った。
 北朝鮮への送金を巡り、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に検察の捜査を受け、収監されたことがある朴氏。そのため盧氏の盟友である文氏を敵視し、17年の大統領選では文氏を批判する急先鋒となった。それが北朝鮮が6月16日に開城の南北共同連絡事務所を爆破すると、文氏はその翌日に朴氏を大統領府に招待して助言を求めた。
 国家情報院(国情院)は、北朝鮮工作員らの監視を目的に1960年に設置された中央情報部(KCIA)の流れをくみ、南北対立下の諜報活動やテロ対策を担う。革新系のハンギョレ新聞は、政敵だった朴氏の起用を「険悪な南北関係に突破口を見いだす意志と切迫さの表れ」と分析。政府関係者は「朴氏の抜てきが、韓国が米国と距離を置いて行動する可能性もあると北にメッセージを送る意味がある」と話す。
 注目が集まるなか、朴氏は3日のフェイスブックに「今後は政治の『政』も口にしない。国情院の改革に力を尽くす」と書き込んだ。大統領府は5日、朴氏の起用は「過去よりも未来を考慮した」と説明した。
 文政権の支持率は北朝鮮が6月に強硬姿勢を取った影響で低迷が続く。世論調査会社リアルメーターが6日発表した調査では、6週連続の低下となる49・8%となり、3月第3週以来、15週間ぶりに50%を割り込んだ。

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