アイヌの権利、考えて 北海道の住職らが本 「ウポポイ」オープンきっかけに

2020年7月7日 07時51分

アイヌの権利を考えるきっかけにしてほしいと語る殿平善彦さん=殿平さん提供

 アイヌ文化を復興・発展させるための国立施設「ウポポイ」が十二日に北海道南部の太平洋沿岸にある白老町にオープンするが、この機会にアイヌ民族の歴史や、先住民族としての権利について考えてほしいと、地元の関係者らが本を出版した。 (五味洋治)
 この本は「アイヌの権利とは何か」(かもがわ出版)。深川市にある一乗寺の殿平善彦住職(74)らが中心になって編集、オーストラリアの歴史学者、テッサ・モーリス=スズキさんや、四人のアイヌ出身者が寄稿している。
 「ウポポイ」はアイヌ語で「大勢で歌うこと」の意味。正式名称は「民族共生象徴空間」で、政府が約二百億円をかけ整備した。
 約十ヘクタールの敷地の中に、アイヌ民族博物館、古式舞踊が披露される体験交流ホールなどが整備され、日本国内だけでなく、世界から年間百万人の観光客を見込んでいる。
 国連では二〇〇七年に、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択された。近年、米国やカナダ、オーストラリアなどでも先住民族の権利を認める動きが広がっている。
 アイヌの人たちは、長く偏見と差別の中で過ごしてきた。北海道大学は、道内や千島、樺太などのアイヌ墓地から遺骨を発掘、研究対象にしていた時期もある。
 これらの反省から日本政府は一九年にアイヌを初めて「先住民族」と規定する「アイヌ新法」を制定、ウポポイの建設も進めた。
 しかし、日本政府はアイヌが持っている狩猟や漁業などに関する「先住権」は認めていない。
 奈良県から移住した両親から生まれた殿平さんは、「本当の意味で共生するなら、先住民族としての権利は認められるべきだ。この本を通じて訴えていきたい」と話している。

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