車が亡者に襲われる! ドライブインお化け屋敷 withコロナ時代のホラー体験

2020年7月8日 07時02分

自家用車で恐怖体験を味わうことができる「ドライブインお化け屋敷」

 闇の中、あなたが止めた車を亡者が襲う−。新型コロナウイルス対策に配慮しつつスリルを体感する「ドライブインお化け屋敷」が誕生したと聞き、東京タワーにほど近い港区の某所を訪ねた。車内に閉じ込められておよそ二十分。まるでホラー映画に引きずり込まれたような恐怖感を味わった。
 このお化け屋敷、自家用車を持ち込むコース(一台税込み八千円、参加人数は車の定員内)と、同社の車に乗るコース(同九千円、定員四人)の二つ。今回は後者を体験した。場所は予約後に教えてもらえる。
 ビル一階のガレージのようなスペースに、ごく普通の軽乗用車が一台。車内は一組が乗車するごとに、消毒を徹底しているという。スタッフに促され運転席に座る。背後のシャッターが閉まると夏の日差しは遮られ、室内は赤い電球が放つ不気味な光に包まれる。

前だけでなく車の全方位からおばけが迫ってくる

 車内のスピーカーから、クラクションを三回鳴らすよう男の声で指示される。プッ、プッ、プッ。すると赤い明かりも消える。暗闇の中から、フッと恐ろしい形相をした女性が現れ「ドアを開けて」とガチャガチャ音を立てる。
 「絶対にドアを開けてはだめ」という指示を思い出し、身を縮める。スピーカーから女の声で、ここで起きた凄惨(せいさん)な事件の説明が流れる。突然、思わぬ方向から「バン」「バン」と車のボディーをたたく音。車体もぐらり、ぐらりと揺れる。車の窓には、複数のお化けが、血の付いた手を押し付けてくる。
 心構えはできていたつもりだが、びくっとしたり、「うわっ」と声が出る。スリルは十分。車を降りると演出用の血のりが車体にベタベタ付き、これまた不気味な感じ。自家用車コースは、帰りがけにスタッフが拭いてくれる。
 発案したのは「お化け屋敷プロデューサー」を名乗る岩名謙太さん(25)。二〇一四年、ショッピングセンターなどにお化け屋敷を出展する事業を開始、一八年に株式会社「怖がらせ隊」として法人化。劇団などで活動する役者に、お化けとしてのけいこを付けて、演じてもらう。すでに約六十人のお化けを育てた。

車に付いた血のりは公道を走行可能な程度まで、スタッフに拭き取ってもらえる=いずれも港区で

 新型コロナの影響が広がると、お化け屋敷などのレジャー施設は自粛が相次ぎ、岩名さんたちの仕事もキャンセルが入った。そんな中、車に乗ったまま映画を見るドライブインシアターなどをヒントに、この方式を編み出した。
 通常のお化け屋敷と違い、コロナ対策を兼ねて観客がずっと車内にいるのが特徴だ。岩名さんは「状況を生かし、ガレージで起きる怪奇現象という筋書き。いい仕上がりになった」と自信を見せる。
 お化け役の一人で、普段は劇場でコメディーなどを演じる羽根川洸太(はねがわこうた)さん(28)は「暗闇では、どれだけ殺気を出すかを意識している」と話す。音響・照明の小野大地さん(33)は「突然暗くしたり、急にお化けが出るように見せたり、工夫している」とにんまり。
 七月四、五日の初開催では、キャンセル待ちが百二十組も出る人気ぶりだった。今後の開催時期は検討中。同社の今出彩賀(いまいであやか)社長(34)は「今まで、ありそうでなかった車内の恐怖体験。今後、ショッピングセンターや遊園地などで展開したい」と意欲を見せている。
文・梅野光春/写真・潟沼義樹

自家用車を使わない人のための共用車内は、きちんとアルコール消毒

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