<わたしの転機>魂込め、本来の音を再生 アナログオーディオ熱中 自作の趣味生かし修理店

2020年7月8日 07時19分

アナログオーディオの魅力を語る中島俊吉さん=名古屋市中区で

 名古屋市東区の中島俊吉(としよし)さん(74)はテレビ局の技術職を定年退職後、学生時代にアンプ作りに熱中した経験を生かし、アナログオーディオ修理の専門店をオープンした。腕前が評判を呼び、今ではアンプやスピーカーの修理依頼が全国から舞い込む。 
  (河郷丈史)
 小学生のときからラジオを作ったり、米国の戦艦ミズーリ号のラジコンを自作して川を渡らせて遊んだりしていました。初めてアンプを作ったのは中学生のとき。音楽の授業でドボルザークの「新世界より」を聴き、感激した。何とか良い音を出したいと、小遣いで部品を調達して見よう見まねで作りました。
 電子工学を学んでいた大学時代はオーディオ研究会を立ち上げ、アンプ作りに没頭。自作のアンプでレコードコンサートを開き、自慢の音を聴いてもらった。当時作った機材は、今も店に置いてあります。
 大学卒業後は東海テレビ放送(名古屋市)の技術職に。野球中継のカメラマンをしたり、地上デジタル放送のシステムを作ったりしていました。オーディオの店をやりたいと思うようになったのは五十代のころ。昔から音楽が大好きで、残された人生で趣味を仕事にできればと。二〇〇六年の定年退職を機に、その二年後、名古屋市中区の大須商店街で「オーディオクラブ響(ひびき)」を始めました。
 修理はアナログなら、メーカーを問わず何でも引き受けます。そういう店は少なくて北海道から沖縄まで、全国からアンプやスピーカーの修理の依頼が来る。今は五百件ぐらいあって、数時間で直せるものもあれば、十日ぐらいかかるものもあり、最大二年待ちくらい。手に入らない部品は韓国や台湾、ドイツなど海外まで仕入れに行きます。
 人が狭い場所に閉じ込められたら動けないし、道路が細いと車がなかなか通れない。音が出なくなったアナログオーディオも同じ。何かが原因で本来の音の通りが悪くなっている。
 原因を見つけ、古い部品を交換したり、はんだを付け直したり、掃除したりすると、音の通りが良くなり、本来の音が戻ってくる。買った当時より音が良くなることも。同じ部品を使っても、配線のやり方一つで音が変わる。アナログオーディオは本当に奥が深い。
 お客さんは「おじいさんの遺品なので何とか直したい」とか、いろんな思いを持ち修理を頼んできます。修理後、お客さんが音を聴いて「本当に自分のですか」とびっくりするのを見るのが、やりがいですね。その喜びはたとえようがない。魂をぶちこんでよみがえらせています。手が動く限りは、続けていきたい。

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