ふるさと納税 返礼品競争を改めねば

2020年7月8日 07時24分
 ふるさと納税制度から大阪府泉佐野市を除外したのは「違法」。最高裁判決は強権的な裁量行政を正した。過熱した返礼品競争への警告とも受け止めるべきだ。制度の原点を見つめ直したい。
 返礼品は寄付額の三割以内。反した自治体は国が除外できる−。昨年六月にそんな基準の新制度がスタートした。四市町が除外の対象となり、泉佐野市は不服として訴訟を起こしていた。
 ふるさと納税制度が二〇〇八年に始まり、一八年度は過去最多の五千百二十七億円を記録した。その約10%近い四百九十八億円を集めたのが泉佐野市だった。地場産品以外の返礼品にインターネット通販アマゾンのギフト券を上乗せしていたからだ。返礼品競争がエスカレートした結果でもあった。
 確かに同市は総務省の自粛要請にも従わなかった。それでも改正地方税法を伴う新制度への参加を認めない措置は、法を過去にさかのぼって適用しているのに等しい。法的義務が生じていない段階での実態を理由に除外したからだ。最高裁は「総務相の裁量範囲内とするのは不適切」と述べ、同省ルールは無効だとした。法定主義では当然の判断であろう。
 見逃せないポイントがもう一つある。同省の措置に反発した市側が国の第三者機関「国地方係争処理委員会」に除外取り消しを訴えたところ、係争委も昨年九月に「地方自治法に抵触する恐れがある」と総務省に再検討を勧告したのである。これは異例だ。
 しかし、同省は勧告を無視。相互不信を高める形で、法廷闘争に至っていた。地方分権をうたいながら、強権的な姿勢で地方自治体を抑え付けようとする国の姿勢があらわだ。勝手な裁量行政のありようを、判決が戒めたとも評価できる。
 もっとも判決は泉佐野市の募集方法について「社会通念上、節度を欠く」と苦言を呈している。もともとは税収の東京一極集中を是正するために、少子化などで財政難にあえぐ自治体を支援するために創設された制度である。
 突出した自治体の振る舞いは「独り占め」状態を生み、地方間で新たな格差を招いてしまう。自治体同士で財源を奪い合う側面をどう是正するか、課題は残る。
 返礼品を廃止し、寄付制度としてのみ残す議論もあろう。高所得者ほど住民税の控除額が高くなる「優遇」批判もある。制度の手直しは必然の時期に来ている。

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